中性脂肪を下げる食べ物・飲み物9選。高い中性脂肪を減らす食事のポイントを解説
血中中性脂肪値は健康診断の項目のひとつであり、引っかかったことがあるという人も少なくないのではないでしょうか。
今回の記事では、健康診断などで血中中性脂肪(トリグリセライド)が高いことを指摘された方に向けて、血中中性脂肪値が高いことでどのようなリスクがあるのか、中性脂肪を下げるための食事のポイント、中性脂肪を下げるのに役立つ特徴を持つ食べ物と飲み物を紹介します。
おすすめ食材を活用したレシピや食事以外に見直したいポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
中性脂肪とは?
中性脂肪とは、トリグリセライドとも呼ばれる、いわゆる「あぶら」の主成分です。
食品中に含まれる脂肪分や、人体では体脂肪の大部分を占めています。
食品成分としての中性脂肪は1gあたり9kcalのエネルギー源となる栄養素のひとつです。
また、脂溶性ビタミンの吸収率を高める働きも果たしています。
中性脂肪はグリセリンと3つの脂肪酸から成り立つ物質であり、脂肪酸の種類によって必須脂肪酸の摂取源にもなります。
体内では、体脂肪の主成分として、消費しきれなかったカロリーを貯蔵する役割を持ちます。
皮下脂肪や内臓脂肪以外にも、血液中にはある程度の中性脂肪が含まれていますが、その量が増えすぎると健康面でのトラブルにつながります。
中性脂肪が高いことのリスクと中性脂肪を増やす原因
血液中の中性脂肪が高い状態では、自覚症状はほとんどないものの、放置すると血管が硬く・もろく劣化する「動脈硬化」を進行させ、心筋梗塞など命にかかわる病気のリスクを高めることが知られています。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、空腹時の血中中性脂肪の数値が150㎎/dlを超えると「高トリグリセライド血症」と診断されます。
高トリグリセライド血症は高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症などと合わせて「脂質異常症」とも呼ばれます。
血液中の中性脂肪を増やす要因には以下のようなものが挙げられます。
- 食べ過ぎや運動不足による肥満
- 糖質の摂り過ぎ
- アルコールの摂り過ぎ
血中中性脂肪値が上がる原因は主に食事や運動といった「生活習慣」が深くかかわっており、高トリグリセライド血症を含む脂質異常症は「生活習慣病」といわれます。
中性脂肪を下げる方法
中性脂肪は食事のカロリー、糖質、アルコールなど、各種栄養素の影響を受けやすいことが知られています。
そのため、中性脂肪を下げるためには、食生活において以下のポイントを押さえる必要があります。
- 摂取エネルギー(カロリー)の適正化
- 糖質摂取量の適正化
- アルコール摂取の適正化
また、血中中性脂肪の数値とは直結しないものの、食事の中で注意すべきポイントとして、以下が挙げられます。
- 脂質摂取は適正範囲にすること
栄養面で気を付けるべきそれぞれの内容について、詳しく解説します。
摂取エネルギー(カロリー)の適正化
中性脂肪を下げるためには、まずは体重コントロールのために摂取エネルギーを適正範囲に収めることが大切です。
日々の消費カロリーに対して摂取カロリーが多すぎると体脂肪として蓄えられ、肥満につながります。
肥満は血中中性脂肪の高値を含む脂質異常症全般のリスクを高める主要な要因であることが知られており、肥満の解消によって血中中性脂肪の改善にもつながります。
BMIが25以上の肥満の場合、摂取カロリーを見直し、体重減少を目指しましょう。
このとき、食事量を極端に少なくするようなダイエットはリバウンドのリスクが高いためおすすめしません。
BMI25以上のままであっても、ある程度体重減少が見られれば、血中中性脂肪の値も改善することが期待できます。
このようなことから、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、3~6か月で3%程度の比較的ゆるやかな減量を推奨しています。
摂取カロリーの適正量については身長や年齢、日常の活動量によって個人差があり、また、現在の体重によって目標体重も異なるため、具体的な数値については医師や管理栄養士と相談の上で設定するのがおすすめです。
糖質摂取量の適正化
糖質、特に果糖の過剰摂取は血中中性脂肪の数値を上げる要因であるため、摂り過ぎている場合には摂取量を適正化が必要です。
中性脂肪が高い場合の糖質の摂取量は総摂取エネルギーの50~60%(できれば50%付近)に抑えることが推奨されています。
これは健康な人の理想の食事バランスとほとんど変わらない内容であり、過剰な制限は必要ありません。あくまで「摂り過ぎ」を避ける程度に留めましょう。
糖質と同じ炭水化物に分類される「食物繊維」は血中中性脂肪の数値とは直結しないものの、他の脂質異常症の改善に有効であるため、1日あたり25g以上の摂取が推奨されています。
糖質を含む食品はさまざまですが、果糖を含むシロップ(果糖ブドウ糖液糖など)や砂糖を多く使用した加工品を制限し、食物繊維を豊富に含む穀類を適量範囲で積極的に選択することを心掛けましょう。
アルコール摂取の適正化
お酒の飲みすぎによってアルコールの摂取量が増えると、血中中性脂肪も増えることが知られています。
また、アルコールもカロリーのある成分であるため、摂り過ぎると肥満の原因となり、肥満を介して血中中性脂肪を高める要因となります。
アルコールの過剰摂取は中性脂肪の数値上昇以外にも高血圧、脂肪肝、急性膵炎などのリスクを高めることから、適量範囲内の摂取に留めることをおすすめします。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、中性脂肪とそのほか動脈硬化性疾患の予防のために、アルコールの摂取量は25g以下、またはできるだけ控えることを目標としています。
脂質摂取は適正範囲で
中性脂肪を下げるための食事改善を行っている方は、糖質摂取量を気にしすぎて脂質の摂り過ぎにならないよう注意する必要があります。
脂質を摂り過ぎると、今度は血中LDLコレステロール値など、ほかの脂質異常症のリスクを高める可能性があります。
脂質は摂取エネルギーの20~25%に留めることが推奨されており、こちらも健康な人の理想の食事バランスとほとんど変わりません。
脂質は適量範囲でとることとし、健康にプラスになるものを選びましょう。
具体的には、脂質異常症リスクを高める飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身や乳脂肪を避け、脂質異常症リスクを下げる魚の脂や植物油を積極的に取り入れましょう。
中性脂肪を下げる食べ物・飲み物9選
ここまで、中性脂肪値を下げるために気を付けるべき栄養素について解説しましたが、具体的な食べ物・飲み物としてはどんなものを積極的に摂るべきなのでしょうか?
ここからは、中性脂肪を減らすのに役立つ特徴をもつ食べ物・飲み物の具体例を紹介します。
上手に取り入れることで効果的に数値改善につなげることができますので、中性脂肪を下げたい人はぜひ参考にしてくださいね。
野菜類
野菜類全般は重さあたりのカロリーが低いため、食事のボリュームを維持しながら摂取カロリーを抑えるのに役立つ食品です。
また、食物繊維の摂取源でもあり、高トリグリセライド血症だけでなくさまざまな生活習慣病全般の予防のためにも積極的に取り入れることをおすすめします。
1日あたりの摂取目標量について、脂質異常症における具体的な数値はありませんが、健康的な食事内容の目安として、1日あたり350g以上をとることが推奨されています。
小鉢一皿分の野菜使用量は70gといわれていますので、この後に紹介する海藻類やきのこ類と合わせて1日5皿分をとることを目安にするとよいでしょう。
調理法に関して、サラダのような生食では、カサが張って噛む必要があるために食事の満足感を高めるのに役立ちます。
また、野菜スープのように加熱した料理では、カサが減るために食物繊維やビタミンなどの栄養素の摂取に役立ちます。
いずれの調理法はそれぞれに良い面がありますので、どちらかにこだわらず、柔軟に取り入れるとよいでしょう。
朝・昼・夜の食事それぞれに偏りなく割り振ることで、1日を通してカロリーの摂り過ぎを避けることができます。
海藻類
海藻類は野菜類と同様、低カロリーで食物繊維が豊富な食材です。
カロリーを抑えつつ食事のボリュームを増しながら、食物繊維をとるのに効果的です。
海藻類は調味済みで1食ごとに分けられた商品や、手軽な乾燥品が多いのが魅力です。
- 味付けめかぶ
- 味付けもずく
- 乾燥わかめ
時間がなく調理の手間をかけられない場面で役立ちますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
きのこ類
きのこ類も野菜類や海藻類と同様に低カロリー・食物繊維豊富な点が魅力です。
海藻よりも幅広い料理の味付けになじみやすいので、使い勝手の良い食材です。
- しめじ
- エリンギ
- まいたけ
- えのきたけ
きのこ類は上記のような種類のものは低価格で安定しているのもメリットです。
きのこは生鮮品が主ですが、生のまま冷凍保存も可能ですので、カットした状態の冷凍ストックをつくっておくと便利です。
魚類
ごはん、パン、麺といった「主食」に偏った食生活では中性脂肪が高くなりやすいため、主食ではない「主菜」「副菜」を適度に取り入れることは中性脂肪を下げるのに役立ちます。
魚類は肉類・たまご・大豆製品と並んで「主菜(メインおかず)」になるたんぱく質源です。
中性脂肪の数値はたんぱく質源による影響は受けにくいものの、中性脂肪以外の脂質異常症や生活習慣病予防の観点から見直しができると理想的です。
- サバ
- イワシ
- サンマ
魚類の中でも上記のような青魚は肉類に比べて脂質異常症リスクを高める飽和脂肪酸が少なく、血中のコレステロールに影響して脂質異常症リスクを下げるDHA、EPAといったn-3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)が多いのが特徴です。
食事内容が主食に偏り過ぎないよう主菜を取り入れることに加え、主菜に魚類を積極的に取り入れることで、摂取栄養素のバランスを整えることができます。
大豆製品
大豆製品も、魚類と並んで積極的に摂りたいたんぱく質源です。
肉類と比較して飽和脂肪酸が少なく、また、植物由来であるため食物繊維もとれるのが魅力です。
- 豆腐
- 納豆
- 蒸し大豆
など、魚類よりも調理が手軽なものが多いので、朝食など時間のないときの食事に適しています。
主菜のメイン食材のバリエーションとして豆腐や納豆を上手に取り入れることで、毎日の食事内容を健康的なものに整えやすくなります。
植物油(なたね油、サラダ油など)
中性脂肪の数値に直接影響するものではありませんが、植物油は動物性油脂と比較して飽和脂肪酸が少なく、生活習慣病のリスクを上げにくい油脂分としておすすめです。
具体的な例としては、以下のようなものが手に入りやすさや使いやすさの面からおすすめです。
- なたね油(キャノーラ油)
- サラダ油(大豆油となたね油の混合油)
- オリーブオイル
重さあたりのカロリーは動物性油脂と変わらないため、カロリーの摂り過ぎにならないよう注意する必要があります。
具体的には、単に足すのではなく、バターやラードといった動物性油脂の代わりに使うのがおすすめです。
また、多価不飽和脂肪酸を多く含む植物油として、アマニ油やエゴマ油も有名ですが、上記の油よりも酸化されて劣化しやすく、加熱調理に向かないなどの理由から、使い方に多少工夫が必要です。
ゼロカロリー飲料
甘い飲み物が習慣になっている人の場合、ゼロカロリーの飲み物は、飲料由来の糖類摂取を減らし、摂取カロリーを抑えるのに役立ちます。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 水
- 無糖の炭酸水
- 無糖のお茶・コーヒー
- ゼロカロリーの清涼飲料水
ゼロカロリーでない炭酸ジュースや甘い飲み物の多くは甘味付けのために果糖ブドウ糖液糖(ガムシロップ)が多く使われています。
甘い飲み物に含まれるシロップや砂糖類は中性脂肪を上げる要因のひとつで、カロリーの摂取過剰による肥満の原因にもなります。
飲み物は「ゼロカロリーのもの」を意識して選ぶようにすると、飲み物からの余分な糖質の摂取を防ぐことができます。
ノンアルコール飲料
お酒からノンアルコールの飲み物に切り替えることで、中性脂肪を上げる要因となるアルコールの摂取量を減らすことができます。
近年では様々なノンアルコール飲料が開発されており、アルコールを摂取せずにお酒の場を楽しむことができるようになっています。
- ノンアルコールビール
- ノンアルコールカクテル・サワー
- ノンアルコールワイン
- ノンアルコール梅酒
このとき、ノンアルコールではあるものの、糖類が多く含まれているものには注意が必要です。
ノンアルコールでも糖類で味付けされているものは実質的には甘いジュース類と大差なく、飲みすぎは糖類及び摂取カロリーの過剰につながります。
可能であればノンアルコールでゼロカロリーのものを選ぶことで、中性脂肪に悪影響を与えにくいでしょう。
また、ノンアルコールであっても、お酒の席の食事は高カロリーになりがちですので、おつまみの内容にも気を配れるとさらに理想的です。
全粒穀物(玄米、全粒粉、押し麦など)
米、小麦といった穀類は糖質を多く含む食品ですが、精製度の低い「全粒穀物」は食物繊維を豊富に含むことから、積極的に選びたい食品といえます。
身近な全粒穀物には、以下のようなものが挙げられます。
- 玄米
- 小麦全粒粉
- 押し麦(もち麦)
- 雑穀類(ヒエ、アワ、キビなど)
- オーツ麦(オートミール)
これらの食物繊維を多く含む全粒穀類は満腹感を持続させるため、食事量を減らしても満足感が得られやすくなり、食事コントロールにも便利です。
また、中性脂肪値以外の生活習慣病全般の予防の観点でも、健康的な食材といえますね。
ただし、全粒穀物は重さあたりの糖質量やカロリーについて、精白米や通常の小麦製品と比較して少ないという事はないので、食べる量には注意が必要です。
あくまで適量範囲内で食べることを前提に、健康的な選択肢として取り入れてみてくださいね。
摂取を控えたい中性脂肪を上げる食べ物・飲み物
中性脂肪を下げるために選びたい食べ物や飲み物とは反対に、中性脂肪値を上げやすい特徴を持つ食べ物・飲み物も存在します。
ここからは、中性脂肪値の改善のために控えたい食べ物・飲み物を紹介します。
高カロリーな食品
重さあたりのカロリーが高い食品は食べる量が同じでも摂取カロリーが高くなりやすく、体脂肪の蓄積と肥満につながりやすくなります。
肥満は高トリグリセライド血症だけでなく脂質異常症全般のリスクを高めてしまいます。
糖質、脂質、たんぱく質、アルコールといったエネルギー源になる栄養素の種類にかかわらず、カロリーの高い食品には注意が必要です。
- 砂糖類
- 甘い菓子、スナック菓子
- 嗜好飲料類
- 揚げ物
- 脂身の多い肉類
- お酒
いずれの食品・料理は絶対に食べてはいけないというものではありませんが、食べすぎないように気を付ける必要があります。
これらの食品はたまに食べるものと位置づけ、多量に食べることが習慣化しないようにしましょう。
糖質を多く含む食品、菓子類、清涼飲料水
糖質の多い食品のうち、特に砂糖類を多く使った食品は中性脂肪値を上げやすく、またビタミンやミネラルといった必須栄養素の摂取源になりにくい事から、積極的にカットしていきたい食品グループといえます。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 甘い菓子類
- 清涼飲料水
- フルーツ缶詰
お菓子や飲み物は砂糖を控えたものを選ぶようにし、果物を食べる場合には砂糖を加えない生のものを適量範囲で楽しむことをおすすめします。
アルコールを含むお酒
アルコールの摂り過ぎは血中中性脂肪を高めるほか、摂取カロリー過多による肥満の原因にもなります。
また、高血圧や脂肪肝、急性膵炎などのリスク要因でもあるため、お酒類の摂取量は適量範囲にとどめることが求められます。
動脈硬化性疾患予防の観点では1日あたり25g以下にすることが望ましいとされています。
この「アルコール25g」に相当するお酒の量はアルコール度数によっても異なりますが、ビール中ビン1本(500ml)、日本酒1合(180ml)が目安となります。
また、動脈硬化性疾患に限らない健康全体を見た時の「節度ある適度な飲酒」は1日あたり20g以下(女性は10g以下)とされています。
加えて、週2日の休肝日をとるとさらに理想的です。
中性脂肪を下げる食べ物を使ったおすすめレシピ
ここまで紹介した、中性脂肪を下げるのに役立つ特徴のある食材を使ったレシピを紹介します。
ただし、おすすめ食材は食べれば食べるほど体に良い、という訳ではありません。
今回紹介するレシピはあくまで一例として、普段の食生活の中で偏りのない範囲で取り入れるようにしてくださいね。
もち麦ご飯のサーモンポキ丼
材料(1人分)
- もち麦ごはん(白米3:もち麦1で炊いたもの)…150g
- 玉ねぎ…20g
- サーモントラウト(刺身用)…60g
- アボカド…40g
- 醤油…4g
- みりん…2g
- ゴマ油…1g
- にんにく(すりおろし)…1g
作り方
- 玉ねぎは薄切りにして水にさらしておく。
- 白米ともち麦を合わせて炊いておく。(レトルトでも可)
- にんにくをすりおろし、調味料と合わせてタレをつくる。
- サーモンを2㎝角に切り、タレに絡めて15分ほど置いておく。
- アボカドを2㎝角に切る。サーモンと合わせてざっくり混ぜる。
- 器にもち麦ご飯を盛り、玉ねぎスライス、アボカドサーモンの順に乗せる。
栄養価
- カロリー…414kcal
- たんぱく質…17.2g
- 脂質…15.1g
- 炭水化物…57.3g
- 食物繊維…6.2g
- 食塩相当量…0.6g
ポイント
一般的に「丼もの」は糖質をとりすぎやすいメニューのひとつですが、玉ねぎスライスでカサ増しすることでカロリーを抑えたり、もち麦(押し麦)入りの麦ごはんとすることで食物繊維の摂取量を増やしたりすることで、糖質の摂り過ぎを抑えつつ満足感を得ることできるメニューです。
また、脂質の中でも飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸の多いサーモン、アボカド、ごま油を取り入れました。
にんにくの風味で食べ応えもあるので、ダイエット中にもおすすめです。
このポキ丼のほか、野菜・海藻・きのこなどの低カロリー食材を中心とした副菜や汁物を組み合わせることで全体としてバランスのとれた献立となりますので、ぜひ試してみてくださいね。
中性脂肪を減らす生活習慣のポイント
血中中性脂肪値は食事以外の生活習慣の影響も大いに受けることが知られています。
食事の見直しに加えて理想的な生活習慣を取り入れることで、さらに中性脂肪値の改善がしやすくなることが期待できます。
中性脂肪を減らすのに効果的な生活習慣を紹介します。
運動
中性脂肪を下げる食生活に運動療法を併用することで、血中中性脂肪値の低下が期待できることが知られています。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では特に有酸素運動が推奨されており、例として以下のような運動が挙げられています。
- ウォーキング
- 早歩き
- 水泳
- エアロビクス
- スロージョギング
- サイクリング
- ベンチステップ運動
このような運動を毎日合計30分以上・週3日以上、または週150分以上行うことが目標とされています。
また、筋トレに関しても血中中性脂肪値の低下に役立つことが報告されているため、有酸素運動の実施が難しい場合には、無理なく取り入れられそうなものから取り入れる、または日常の生活で座ったままの状態を避けてなるべく体を動かすことを意識することをおすすめします。
禁煙
喫煙者ではタバコを吸わない人と比較して血中中性脂肪値が高いことが報告されています。
また、喫煙習慣はそのものが血管の収縮を促して動脈硬化を進行させることから、中性脂肪の改善のためだけでなく動脈硬化性疾患全体のリスク低下のためになるべく禁煙が望ましいでしょう。
禁煙外来などを上手に活用しつつ、禁煙が達成できれば複数の健康リスクを減らすことにつながります。
禁煙すると食事が増えるなどによって体重増加がみられやすいので、その点のみ注意しながら取り組むのが理想です。
規則正しい生活
不規則な生活習慣は肥満につながりやすいことが知られています。
具体的には、以下のような影響があることが予想されます。
- 夜食を食べる習慣…余分なカロリー摂取
- 睡眠不足…日中の活動量低下によるカロリー消費低下
睡眠不足や夜食による余分なカロリー摂取を避けるため、夜は早めに就寝することを心掛け、朝からしっかり動ける習慣を身に着けられることが理想です。
まとめ
血中中性脂肪値は肥満のほか、糖質やアルコール摂取量の影響を受けやすい検査値です。
自覚症状がないからと言って放置すると重大な病気につながりかねないため、早期の対処が重要です。
具体的には、以下のような内容が挙げられます。
- カロリー・糖質・アルコールの摂取量を適正範囲におさめること
- 体重減少を目指すこと
- 運動や睡眠などの生活習慣を見直すこと
いずれも、血中中性脂肪値の改善だけではなく、生活習慣病全般の予防や改善に役立つ内容です。
なるべく軽度のうちに改善を目指し、将来にわたって食事を楽しめるような体づくりをしたいですね。
参考文献
厚生労働省e-ヘルスネット:「中性脂肪 / トリグリセリド」
日本動脈硬化学会:「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
記事監修
院長 渡邉 秀美代
- お茶の水橋交番横クリニック 院長
- 医学博士
- 総合内科認定医
- 内分泌内科専門医
- 内分泌内科指導医
- 産業医
- JSCTR認定GCPパスポート(日本臨床試験協会)
管理栄養士 平井 しおり
2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。
現在は、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。