疲労回復に良い食べ物ランキング6選。疲れをとる食事のポイントを解説
仕事や勉強、激しい運動などによっておこる「疲労」は、心身のパフォーマンスを低下させてしまいます。
毎日を健康的に過ごすためにも、疲れは早めにとりたいものですが、このときに食事の内容やとり方を工夫することで、すみやかな疲労回復に役立つかもしれません。
この記事では、疲れをなるべく早く、効果的に解消したい方向けに、疲労回復に役立つ食品の具体例をランキング形式で紹介します。
疲労を種類別に整理し、原因ごとに意識したい栄養素・食品、これらの食品を使ったレシピやコンビニメニューの例を紹介します。
即効性が期待できる食品や、注目されている機能性成分の効果についても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
疲労(疲れ)とは?種類と原因を解説
疲労とは、肉体的・精神的な活動を過度に行うことで起こる、体のパフォーマンスが低下した状態です。
疲労はその原因によって以下の3種類に分けることができます。
- 肉体的な疲労
- 精神的、神経的な疲労
- 病気の症状としての疲労
疲れの種類と原因について解説します。
肉体的な疲労(筋肉疲労)
スポーツを行ったり、普段よりも多く体を動かしたりしたときに感じる疲労は「肉体的な疲労」といえます。
肉体的な疲労は「筋肉疲労」や「末梢性疲労」ということもあります。
具体的には、体を動かすためのエネルギーが枯渇した状態です。
また、激しい運動を行った場合には筋肉の損傷やpHバランスの変化が起こり、疲労やだるさを感じる一因であると考えられています。
肉体的な疲労の解消のためには、エネルギーの補給のほか、筋肉を修復するための栄養補給や休養が必要です。
精神的・神経的な疲労(ストレス疲労、脳疲労)
対して、デスクワークや勉強を長時間行ったり、ストレスのかかる環境で緊張状態が続いたりしたときに起こる疲労は「精神的・神経的な疲労」といえます。
体というよりも脳や眼(視神経)の負荷である精神的・神経的な疲労は、「中枢性疲労」といわれることもあります。
中枢性疲労では、脳の活動が増加することで発生する活性酸素の酸化ストレスによって疲れや倦怠感を感じると考えられています。
脳の疲労回復には、脳のエネルギーとなる栄養素を補給し、疲労の原因となる脳や視神経の負荷やストレスの原因を減らすことが大切です。
病気が原因の疲労
一方、単純な体への負担以外の原因によって疲労感を感じることがあります。
- 風邪などの感染症による倦怠感、だるさ
- 貧血による疲労感
- 睡眠時無呼吸症候群による睡眠不足
- 甲状腺機能亢進症などによる疲労感・倦怠感
- 慢性疲労症候群
十分な休養をとっても改善しない場合や、何か月も続くような疲労感は単なる疲れではなく、何らかの疾患が原因になっていることも考えられますので、医療機関に相談することをおすすめします。
疲労回復に良い栄養素と食事のポイント
身体的、精神的な疲労からの回復には、休養に加えて食事からの栄養補給も関係しています。
以下の栄養素を含む食べ物や食事を活用することで、より効果的に疲労回復を図ることができるかもしれません。
- エネルギーと糖質の補給
- ビタミンB群の補給
- たんぱく質の補給
- ビタミンCの補給
- 消化の良い食事
疲労回復に関連するこれらの栄養素について解説します。
また、疲労回復に良いとされているいくつかの機能性成分についてもその効果を検討します。
エネルギーと糖質の補給
疲労の回復のためには、エネルギー源となる栄養素、特に糖質の補給を行いましょう。
肉体的疲労、精神的疲労はいずれも「エネルギー不足」が大きな要因となっています。
よって、疲労回復のためには、枯渇したエネルギー(カロリー)を食事からとることが有効です。
エネルギー源になる栄養素には糖質、脂質、たんぱく質がありますが、このうち特に糖質は脂質やたんぱく質と比較して素早くエネルギー源になるため、疲労回復に対して即効性を求めたい場合には最適の栄養素です。
糖質は砂糖などの糖類やでんぷん質として食品に含まれており、以下のような食品が主な摂取源となります。
- 穀類(米、小麦など)
- 芋類
- 砂糖類
疲労回復のためには、これらの食品から糖質エネルギーを補給することが大切です。
ビタミンB群の補給
糖質をはじめとしたエネルギー産生栄養素を有効活用するためには、ビタミンB群の摂取が効果的です。
ビタミンB群は水溶性ビタミン8種(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン)をまとめたグループで、いずれも体内のエネルギー生成に関与しています。
特にビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に不可欠な栄養素であるため、ビタミンB1が不足すると糖質をとってもエネルギーとして利用されません。
ビタミンB1は以下の食品に比較的豊富に含まれています。
- 豚肉
- 魚介類
- 玄米
これらの食品のほか、栄養ドリンクなどに配合されていることも少なくありません。
糖質を含む食品と一緒にビタミンB1を含む食品をとることで、即効性のある糖質の効率的な利用につなげられます。
たんぱく質の補給
肉体的疲労、特に激しい筋肉運動を行った後の疲労回復には、たんぱく質の摂取も効果的です。
たんぱく質は筋肉をはじめとする全身の組織の材料になる栄養素で、激しい運動を行って疲労した筋肉を補修するのに必要とされます。
また、たんぱく質はエネルギー源としても働きますが、糖質と比べると分解・吸収のスピードに劣るため、即効性のある栄養素ということではなく、疲弊した体組織の補修に役立つものと考えるとよいでしょう。
たんぱく質を多く含む食品は以下のようなものが挙げられます。
- 肉類
- 魚介類
- 卵類
- 乳製品
- 大豆製品
このほか、プロテインサプリメントとしてとる方も少なくありません。
たんぱく質は、スポーツやトレーニングを行った後に意識してとるようにすることがおすすめです。
ビタミンCの補給
勉強やデスクワークなどをしすぎたときや大きなストレスを受けた時の精神的・神経的な疲労には、ビタミンCの補給も効果的といえます。
ビタミンCは抗酸化作用を持つビタミンで、脳の疲労の一因とされる活性酸素を除去する働きを持っています。
ビタミンCそのものはエネルギー源にはならないため、単体で疲労回復に対する即効性は期待できませんが、脳のエネルギーになる糖質と合わせて摂取することで、より効果的に疲労回復を図ることができそうです。
ビタミンCを含む食品には以下のようなものが挙げられます。
- 緑黄色野菜
- 果物
このほか、野菜や果物を原料としたジュース類からもビタミンCを摂取することが可能です。
消化の良い食事
疲れを感じた時の食事は、消化の良いものを意識しましょう。
疲労回復には高カロリーの肉や揚げ物!という人もいるかと思いますが、油の多い料理は消化吸収しにくいという特徴があるためです。
体だけでなく胃腸も疲れている場合には、脂肪分や塩分、香辛料などを多く含むスタミナ料理は消化に負担がかかり逆効果になることもあります。
負担をかけにくい食事としては、消化吸収されやすい糖質を多く含む食事がおすすめ。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 柔らかく調理した穀類(お粥、おじや、うどんなど)
- 吸収の早い糖類(ジュースなど)
疲労回復に良い食べ物ランキング6選
ここまでで紹介した、疲労回復に良い栄養素が含まれる食べ物・飲み物の具体例をランキング形式で紹介します。
疲れたときの食事に、ぜひ意識して取り入れてみてくださいね。
1位:穀類(ごはん、パン、麺)
穀類(穀物)は糖質の主な摂取源となる食品グループです。
分解されてブドウ糖として吸収され、枯渇したエネルギーの補給に役立ちます。
穀類に属する食品の具体的な例としては以下のようなものが挙げられます。
- ごはん
- もち、だんご
- パン
- うどん
- パスタ
特に素早くエネルギー補給をしたい場合には、消化吸収しやすいものがおすすめ。
玄米や全粒粉のような、繊維質が多く含まれる精製度の低い穀類は生活習慣病予防の観点では優れているものの、即効性のある疲労回復や消化に良い食事を目的としているときには避けたほうが無難です。
2位:砂糖類(お菓子、ジュース)
砂糖類や砂糖を使った甘いお菓子も、穀類と同じく糖質の摂取源となる食品です。
砂糖も穀類と同様に分解されてブドウ糖として吸収されますが、砂糖の半分は果糖で出来ているため、血糖値の上がりやすさは穀類の方が強いようです。
糖質の補給に適した砂糖を使った食品には以下のようなものが挙げられます。
- 飴
- ラムネ
- グミ
- ジュース
- チョコレート
砂糖ではなくブドウ糖を主原料としたラムネ菓子などは、分解を必要とせずに極めて速く血糖値を上げるため、少しでも早く糖質エネルギーを補給したい場合におすすめです。
穀類よりも手軽に食べられる点がメリットですが、とりすぎは栄養バランスを崩しやすいため、応急処置的な摂取として考えましょう。
3位:豚肉・鶏肉
筋肉運動による疲労回復には、たんぱく質を多く含む豚肉や鶏肉がおすすめです。
豚肉や鶏肉などの肉類はアミノ酸のバランスがよく、良質なたんぱく質源と考えることができます。
また、豚肉は糖質のエネルギー代謝にかかわるビタミンB1を多く含む食品でもあります。
脂身の少ない部位がよりたんぱく質を多く含みますので、豚肉や鶏肉からたんぱく質を効率的に摂りたい場合には、以下のような部位が適しています。
- 鶏ささみ
- 鶏むね肉(皮を取り除くとさらに低脂質に)
- 豚ヒレ肉
- 豚もも肉
疲労回復に対して即効性が期待できる食材という訳ではありませんが、体の疲労を感じた時に、意識して食事に加えるのがおすすめです。
4位:カツオ・マグロ・ウナギ
魚類も運動で損傷した筋肉の疲労回復におすすめの食材です。
肉類と同様にバランスよくアミノ酸を含み、たんぱく質の摂取源として優れた食品グループといえます。
魚類の中でもカツオやマグロはたんぱく質の含有量が高く、食材として同じ量からとれるたんぱく質が多いのが魅力です。
食べる機会も比較的多く、ツナ缶など、日常的に取り入れやすい製品があるのもポイントです。
また、ウナギは魚介類の中でも、糖質エネルギー代謝にかかわるビタミンB1を多く含むのが特徴です。
肉類と同様に、疲労回復に対して即効性があるものではありませんが、筋肉の補修を助ける食材として取り入れるのが良いでしょう。
5位:果物
疲労回復のためのエネルギー補給や、脳疲労の回復には果物類もおすすめです。
果物類はエネルギー補給のための糖質のほか、脳疲労の一因とされる活性酸素の除去作用が期待できるビタミンCを摂取できる食品です。
生の状態で糖質の多い果物類には、以下のようなものがあります。
- バナナ
- ブドウ
- マンゴー
- りんご
- キウイフルーツ
- パイナップル
また、ドライフルーツやシロップ漬けの缶詰フルーツなどは、少量で糖の摂取ができるのが魅力です。
- ドライマンゴー
- レーズン(干しぶどう)
- 干し柿
- ドライあんず
- みかん缶詰
- もも缶詰
- パイナップル缶詰
また、ビタミンCの多い果物類は以下の通りです。
- アセロラ
- キウイフルーツ(黄色)
- レモン
- いちご
- オレンジなど柑橘類
このほか、果物ジュースなどは手軽に購入・摂取できるのが魅力です。
ビタミンCなどの栄養価に力を入れた製品も少なくないため、栄養成分表示を確認しつつ、ビタミンC含量の多いものを選ぶのがおすすめです。
6位:スパイス・香味野菜
疲れすぎて食欲が出ない…というときは、スパイスや香味野菜を上手に取り入れましょう。
スパイスや香味野菜を取り入れることで、食事の風味がよくなり、食が進みやすくなることも少なくありません。
スパイスや香味野菜は多くの種類がありますが、身近なものでは以下のようなものが挙げられます。
- トウガラシ
- わさび
- こしょう
- 山椒
- 花椒
- カレー粉
- 五香粉
- 生姜
- にんにく
- しそ
- みょうが
- バジル
いずれも独特の味わいがあり、食欲を増してくれる食材です。
食べる人の好みや体調によっても異なりますが、さっぱりとした風味のものは食事を食べやすくしてくれます。
スパイスや香味野菜は、直接的に疲労を回復する作用がある訳ではありませんが、疲労回復のためのエネルギー補給を助けてくれる食材といえますので、うまく活用するとよいでしょう。
コンビニで買える疲労回復に即効性のある食べ物・飲み物
疲れがひどい時の食事には、簡単に買えて食べやすいコンビニメニューが便利です。
ここまでで紹介した、疲労回復によい栄養素や食材を取り入れるのに便利なコンビニの商品例を紹介します。
甘いお菓子、菓子パン
甘いお菓子や菓子パンは糖質、特に砂糖を多く含むため、すみやかに糖質エネルギーを補給したいときに適したコンビニ商品です。
- ラムネ
- 飴
- チョコレート
- 菓子パン(メロンパン、ジャムパン、クリームパンなど)
ただし、お菓子や菓子パンは、平常時の食事で多くとりすぎると栄養バランスを乱しやすいため、普段の食事では多くなりすぎないように意識しましょう。
おにぎり・惣菜パン
おにぎりやパンは糖質の摂取源であり、手軽に食べられる商品の代表格といえます。
- おにぎり(鮭、ツナなど)
- サンドイッチ(ハム、チーズ、卵など)
- 惣菜パン(ホットドッグ、フィッシュバーガーなど)
上記のような、たんぱく質源になる肉や魚などの具材を使用したものであれば、1品だけで筋肉疲労からの回復にも適した食事内容にできます。
ジュース、栄養ドリンク
食欲がなく固形の食品が食べにくい、という場合にはジュース類や栄養ドリンクが便利です。
ジュースや栄養ドリンクは糖類が多くエネルギー源になること、飲み物で摂取しやすいのが魅力です。
- 果物ジュース
- 清涼飲料水(ソフトドリンク)
- 栄養ドリンク
商品によっても異なりますが、一部の飲料にはビタミンCやビタミンB1などの疲労回復に良い栄養素が含まれているものもありますので、栄養成分表示を確認してこれらが多いものを選ぶのもおすすめです。
ゼロカロリーの飲み物はエネルギー源になる栄養素が含まれていないため、疲労回復のために飲み物を選ぶ場合には適していないため注意しましょう。
また、エナジードリンクや栄養ドリンクは一部の商品でカフェインが配合されています。
カフェインの入ったものは飲むと意識がはっきりして「疲れが取れた!」と感じやすいのですが、実際には疲れがなくなったわけではありません。
体は疲れているのに脳が疲れを感じにくくなるため、長期間にわたる使用はおすすめできません。
ここぞ!というときにだけ取り入れたい成分ですね。
サラダチキン、ゆで卵
肉体疲労時の筋肉組織の補修には、サラダチキンやゆで玉子がおすすめです。
サラダチキンやゆで玉子はコンビニで買える商品の中でもたんぱく質の摂取に適したもので、おにぎりやパンなど、糖質エネルギー補給に適した商品と組み合わせてとることで、肉体的な疲労からの回復に適した食事にすることができます。
コンビニで買いやすいたんぱく質食品には、以下のようなものがあります。
- サラダチキン
- ゆで卵
- サラダフィッシュ
- 豆腐バー
激しい運動をした後の食事では、これらの商品を意識してごはんやパンと組み合わせるとよいでしょう。
疲労回復におすすめのレシピ紹介
自炊ができる場合には、今回紹介した食材を取り入れた「疲労回復メニュー」を作ってみるのもおすすめです。
糖質とビタミンB1を併せてとれるレシピ、吸収の良い糖質に特化した即効性重視のレシピをそれぞれ紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
【糖質・ビタミンB1補給レシピ】炊飯器で簡単カレーピラフ
※画像はイメージです
材料(2人分)
- 米…1合(150g)
- 水…180ml(目安。炊飯器の線に合わせる)
- 玉ねぎ…1/2個(100g)
- コーン缶詰…1/2缶(60g)
- ロースハム…8枚(80g)
- コンソメ…固形1/2個または顆粒小さじ1(2.6g)
- カレー粉…大さじ1/2(3g)
作り方
- 米は洗って30分ほど水に浸しておく。
- 玉ねぎ、ハムは1㎝の角切りにしておく。コーンは水気を軽く切る。
- 炊飯器の釜に米、コンソメ、カレー粉を加え、1合の線まで水を加える。
- 玉ねぎ、コーン、ハムを加えて炊く。
栄養価(1人分)とコメント
- カロリー…389kcal
- たんぱく質…13.5g
- 脂質…6.9g
- 炭水化物…70.0g
- ビタミンB1…0.38㎎
- 食塩相当量…1.6g
糖質源となる米とビタミンB1の摂取源になるハム(豚肉)を使い、食欲をそそるカレー味のピラフに仕上げました。
ハムやウインナーなどの加工肉は生肉よりも扱いやすいのが魅力ですね。
フライパンを使わず炊飯器に入れて炊くだけなので、手間をかけずにできるのもポイントです。
【即効性重視のレシピ】はちみつバナナミルク
材料(2杯分)
- バナナ…2本(正味120g)
- 牛乳…150ml
- はちみつ…大さじ1(21g)
作り方
- バナナは皮をむき、適当な大きさに手で分けてミキサーやブレンダー用容器に入れる。
- 牛乳、ハチミツも加えてミキサーやブレンダーにかけて出来上がり。
栄養価(1杯分)とコメント
- カロリー…135kcal
- たんぱく質…3.2g
- 脂質…2.9g
- 炭水化物…25.3g
包丁も必要なく、すぐに作れて手軽に糖質の補給ができるバナナミルクを紹介します。
疲労で枯渇したエネルギーをバナナやはちみつで即効チャージしましょう!
飲み物なので固形物は食べにくいという場合にもおすすめです。
機能性成分の効果
今回の記事では疲労回復とかかわりがある必須栄養素を中心に紹介しましたが、一部の食品や健康食品では、疲労回復効果が期待されている「機能性成分」が含まれているものもあります。
「機能性成分」とは、健康状態の維持のために必須とされる栄養素ではないものの、体に何かしらの作用をもたらす食品成分のことを指します。
世間では疲労回復に効果が期待されている機能性成分が数多く存在しており、サプリメントや健康食品に活用されています。
疲労回復に効果が期待されている機能性成分の効果について検討します。
クエン酸
クエン酸は果物の酸味成分として含まれており、体内のエネルギー産生に関して重要な働きをしている成分で、果物類のほか、ジュースやお菓子、サプリメントなどに使用されています。
疲労回復効果に関するポジティブな研究報告では、以下のようなものが挙げられます。
- 運動後に一定量以上の糖質と合わせて摂取した場合に疲労度の減少がみられた
- クエン酸を多量に含む飲料を4週間摂取することで疲労感の軽減がみられた
とはいえ、クエン酸を食品として摂取した場合に疲労回復などの効果があるのかについては十分な研究データがないため、クエン酸を多く含む食品が必ずしも疲労回復に効果があるとは言い切れません。
糖質の摂取や休養と合わせて、補助的な要素として取り入れるのがおすすめです。
イミダゾールジペプチド
イミダゾールジペプチドは鶏肉などに含まれる成分で、タンパク質の一種です。
イミダゾールジペプチドを構成しているアミノ酸の「ヒスチジン」が、抗酸化作用や筋肉疲労の原因であるpHの変動を抑える作用があることから、筋肉疲労解消効果が期待されています。
しかし、イミダゾールジペプチドを含む食品をとることで実際に抗疲労効果があるかは分かっていません。
また、期待されている機能性は、「イミダゾールジペプチドそのもの」の機能ではなく、それを構成する「ヒスチジン」によるものであることから、必ずしも「イミダゾールジペプチド」としてサプリメント等から特別にとる必要性はあまりないかもしれません。
ヒスチジンはかつお、まぐろ、ぶり、サバなどの魚類、鶏肉や豚肉といった肉類に含まれているため、これらの食品を適度の摂ることを意識するとよいでしょう。
αーリポ酸
α-リポ酸は体内でエネルギー産生にかかわる成分であること、抗酸化作用をもつことから、疲労回復への効果が期待されており、多くのサプリメントや健康食品に使用されている成分です。
しかし、α-リポ酸を摂取することで実際に疲労回復効果があったという研究報告はなく、α-リポ酸が疲労回復に効くというのはあくまで理論上の話のようです。
また、α-リポ酸は体内で合成できること、多量の摂取で吐き気、嘔吐、低血糖などの健康被害を起こす可能性があることから、むやみに摂取することは避けたほうが良いでしょう。
カルニチン
カルニチンはアミノ酸の一種で、筋肉や肝臓など様々な組織に存在して脂肪酸の代謝にかかわる成分です。
運動能力の向上や肥満解消への効果、これと関連して疲労回復への効果が期待されています。
カルニチンは不足すると筋力低下などの不調の原因となりますが、基本的には体内で合成されること、食事からある程度摂取されることから、特に健康状態に異常がない人では不足の心配はありません。
サプリメント等から多量に摂取しても必要量以上は体外に排出されてしまうため、あえて摂取する必要はなく、バランスのとれた食事を意識するだけで十分です。
カルニチンは食品ではマトン、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類に含まれているため、これらの食品を適度に食事に取り入れることが大切です。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10(CoQ10)は、これまでの成分と同様、エネルギー産生に関与し、酸化ストレスから体を守る働きが期待されている成分です。
イワシなどの青魚、肉類、ブロッコリーなどに多く含まれていることが知られています。
さまざまなサプリメント・健康食品等に使用されている成分ではあるものの、実際の疲労改善効果や酸化ストレスの軽減効果についてはポジティブな結果は得られていないようです。
疲労回復を図りたいときに、意識してとるメリットはさほど大きくないものと考えましょう。
食事以外の疲労回復方法
疲れた時の疲労回復には食事からのエネルギー補給が重要ですが、それと同様に、食事以外の生活上での行動も大切です。
具体的には、睡眠を取ったり、入浴をしたりといった休養を心がけること、精神的な疲れで体力的に余裕があれば、趣味など楽しめることを行ってリフレッシュすることも効果的です。
これらの疲労回復方法について詳しく解説します。
睡眠、入浴などの休養
今回の記事では主に食事面での疲労回復法について紹介しましたが、食事と同じかそれ以上に疲労回復に効果があるのは「休養すること」です。
- 体を休めてリラックスする
- お風呂で温まって寝付きやすくする
- 十分な睡眠時間をとる
疲れた時には無理に動き続けるのはやめ、体力を温存し体力の回復に専念することが最も効果的といえます。
趣味やリフレッシュ
また、疲れで気持ちが落ち込んでいたりする場合、体力に問題がなければ精神面のリフレッシュも大切です。
- 適度のスポーツ
- 趣味の活動をする
- 旅行に行く
好きなことに取り組んだり、いつもと違う場所でのんびり過ごすことで、気分転換するのもよいでしょう。
まとめ
大部分の疲労は過度の活動に対する体の反応で、異常なものではありませんが、毎日を健やかに過ごすためには、早めに解消したいものです。
疲労は体のエネルギー切れが大きな要因であるため、吸収のよい糖質からの速やかなエネルギー補給がポイントです。
そのほか、糖質の代謝を助けるビタミンB1、筋肉の補修に必要なたんぱく質、脳の疲労の原因であると考えられている活性酸素を除去するビタミンCなどを補助的に摂るとよいでしょう。
お菓子やジュース類などは糖類が多く含まれているうえに手軽にとりやすいため、即効性を求めるときに便利ですが、食事全体のバランスを考慮して、その後はとりすぎないようにするなどの工夫を行いましょう。
疲労回復効果が期待されている成分を配合したサプリメントなどもありますが、その効果がしっかりと確認されたものは無いようですので、薬のようなものと考えるのは避けましょう。
しっかり食事をとり、体を休め、必要に応じて気分転換を行って、なるべく早く元気に活動できるようにしたいですね。
参考文献
名古屋ハートセンター:「“休養不足”に陥っていませんか?心臓を長持ちさせるための休養とは」
公益社団法人 大阪府栄養士会:「疲労と栄養管理 講演Ⅱ「科学に基づいた疲労回復法」」
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(クエン酸、イミダゾールジペプチド、α-リポ酸、カルニチン、コエンザイムQ10
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書
上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8
中村宜督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部, 2022.7
五訂増補 調理のためのベーシックデータ. 女子栄養大学出版部, 2009.6
記事監修
院長 渡邉 秀美代
- お茶の水橋交番横クリニック 院長
- 医学博士
- 総合内科認定医
- 内分泌内科専門医
- 内分泌内科指導医
- 産業医
- JSCTR認定GCPパスポート(日本臨床試験協会)
管理栄養士 平井 しおり
2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。
現在は、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。