TOPへ

糖尿病

糖尿病/内分泌内科とは

いつも喉が渇いている。頻回にお手洗いに行く
(口渇・多飲・多尿)

いつも喉が渇いている。頻回にお手洗いに行くこれは糖尿病の初期症状です。血液中に糖分が多くなり、血液がさらさらではなくどろどろに粘稠になります。また糖を排出するために尿が大量に出て、このため脱水になるので喉が渇きます。ここで水分摂取をしないとなると血液の粘稠性が増加して血流が詰まりやすくなるので水分摂取は不可欠です。

感染症にすぐなるし(風邪、水虫、ヘルペスなど)長引く。傷も治りにくい
(組織修復力、免疫力の低下)

糖分が高い高浸透圧ドロドロの血液は流れにくいので特に細い血管での流れが悪くてウィルスや細菌を攻撃して退治してくれる白血球(好中球やリンパ球など)の遊走能も、貪食能も低下します。このため必要な部位へキラーT細胞などがかけつけにくく、免疫ブロブリンや補体なども作用も発現できにくく、本来なら抹殺すべき外敵を退治できないということが起こります。

また、高血糖自体が炎症性サイトカインの分泌をひきおこして炎症を惹起することも多いので、あちこちで炎症を起こして白血球を活動させることで本来白血球に働いて病原体を抹殺してほしい部位には届きにくくなるということも起こります。
なお、糖尿病では免疫力が落ちるので、がん細胞に対しても退治する能力が落ち、正常の血糖値の人と比べて明らかに癌への罹患率も死亡率も増加します。

手足がしびれる。感覚がにぶくなる。痛くなる

手足がしびれる。感覚がにぶくなる。痛くなる糖分が高い高浸透圧ドロドロの血液は流れにくいので、末梢の細い血管ほど流れが悪くなり、その結果末梢の細い血管ほど血流が流れにくくなるので、末梢の神経細胞を栄養できなくて手足の先が痛くなったりしびれたりします。

腎機能低下・眼底の網膜症が起こりやすくなる

これも手足がしびれるのと同じ原因です。分岐した先の細い血管になるほど血流が悪くなるので、すなわち腎臓の血管や網膜の血管などの細い血管の血流が低下することによって腎症や網膜症が生じます。

動脈硬化が起こりやすくなり、心血管障害、脳血管障害なども起こる

血管の壁は高い血糖値に耐えられるようにはできていないのでサイトカインの分泌を引き起こして身体中の血管で炎症が発生し、動脈硬化の原因となります。このため血管内腔が狭くなり、完全に詰まることもあります。細い血管ほど先に症状が出やすいので前述のように手足や腎臓、眼底にまず症状が出ることが多いのですが、進行すると中くらいの太さの血管やそれ以上の血管にも動脈狭窄の影響が出てきます。特に命に関わるのが心臓の冠動脈(狭心症、心筋梗塞)や脳の動脈(脳梗塞)です。その他あらゆる血管の狭窄があり得るので狭窄部位に応じて症状が出ます。このように、血管がしなやかでなくなると、詰まる(梗塞)だけでなく、折れたりして破損で出血も起こり得ます。

疲れやすい

疲れやすい血液中には糖が過剰にありますが、それを細胞内にとりこんでエネルギーにしなければ栄養にはなりません。しかし血糖が血管内をぐるぐる回っているだけで細胞内に取り込んで活用する力が弱いので、細胞はエネルギー不足に陥ります。その結果、身体は栄養失調状態になって疲れやすくなります。

痩せてくる

痩せてくる糖尿病になるきっかけ(II型糖尿病)としては肥満が多いのですが、本格的に糖尿病が進行すると痩せてきます。インスリンだけが血液中の糖分を細胞内に取り込めるので、たくさん糖質を食べるとインスリンが頑張って過剰に働きます。そして当初は効率よく糖分を細胞内に取り込むので肥満します。しかし過剰に常に働かされているとインスリンを作る細胞(膵臓ランゲルハンス島のβ細胞)が過労で疲弊します。そして段々インスリンを作れなくなるのです。

こういうわけでII型糖尿病初期ではむしろインスリン分泌が活発なのです。たくさん糖分を食べて、そこでインスリン分泌が活発なので糖分をすぐ細胞内に取り込むため太ります。しかし過労によって徹底的に疲弊した結果、再起不能になってもうインスリンを作れなくなるのです。

そのため、血液中には糖が過剰になっても、インスリン分泌量や作用効率が落ちるのでそれを細胞内にとりこんでエネルギーにする力が弱くなり、細胞の中はエネルギー不足で栄養失調になります。その結果、糖尿病が進行すると身体全体がやせてきます。つまり、飢餓状態です。

ですから、糖尿病があり、太っている状態というのはまだインスリン分泌能が保たれている段階なので、この段階で過食をやめ、肥満を改善してインスリン必要量を減らすことができれば、膵臓のインスリン生産工場も疲弊してもう作れなくなることはなくて、適度な量のインスリンを作り続けられる可能性もあります。

まだ太っている間に痩せましょうというのは矛盾しているようですが、痩せ始めたら糖尿病の病状は相当進んでいる状況です。

以上、糖尿病でどんな症状が出るのかを書きましたが、これらの症状は複合でやってきます。例えば、「末梢神経障害で足先の感覚が麻痺しているので怪我に気づかず治療が遅れた上に免疫力低下しているので傷口がひどく化膿した」とか「動脈硬化で血管の内腔が狭くなっているところにどろどろの高血糖の血液が流れてきたので血流が途絶えて梗塞になった」などです。症状は梗塞部位によってさまざまです。腎臓血管が詰まれば腎不全になりますし、眼底の血管が詰まれば網膜症で失明もありますし、足の血管が詰まれば足が壊死することもあります。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞ですし、脳の血管が詰まれば脳梗塞です。足が壊死して切らなければいけないなどは、足の太い血管が詰まるまでに病状が進行している状況で起こります。

このように糖尿病はあらゆる悲惨な病態を起こしうる大変な病気なのです。しかし初期には何ら気になる症状もなくて、血糖値が高いと健診などで指摘されるだけです。ここできちんと対応すればその後の悲惨な状況を予防できることが殆どなので是非早期からの治療をお勧めします。

糖尿病の原因

糖尿病の原因一言でいえば糖尿病はインスリンの不足によって細胞内に糖が十分には取り込めなくなり、一方で血液中に糖が過剰に余ってしまうことによって起こります。大きく分けると糖尿病の症状には二つの大きな原因があります。一つ目は細胞内にエネルギーがとりこめないことによる細胞内栄養不足(飢餓状態)、二つ目は血糖値が高いことによって血管の壁を痛めてしまったり血流が悪くなる動脈硬化、です。

こういった病態はあらゆる糖尿病に共通ですが、糖尿病には2つのタイプがあります。

即ち、I型とII型です。

I型糖尿病は、インスリンの絶対的な不足が原因です。即ちある日突然自己免疫反応やウィルス感染などによってインスリンを作る細胞(膵臓のランゲルハンス島のβ細胞)が破壊されたり、インスリンの作用を阻害する抗体ができてインスリン作用をブロックされることによってインスリンが全然作れなくなる(働かなくなる)ことが原因で、症状は激烈です。発症と共に意識を失ったり、命を落とすこともあります。食事療法などで改善はできず、インスリンを注射することが必須です。

II型糖尿病は、インスリンの相対的な不足が原因です。インスリンは作れているのですが、太りすぎや食べすぎなどによってインスリンの必要量がどんどん増え、必要な量がつくれない状態です。このため膵臓のβ細胞にインスリンをもっともっと作るように命令し続け酷使続けることになり、β細胞が疲弊して段々とインスリンを必要量は作れなくなってくることによって起こります。最終的にはインスリンを全然作れなくなることもありますが、最初はインスリンをむしろ大量に作っており、発症した時の症状も非常にマイルドです。

糖尿病の治療

大きく分けると、起こってしまった症状に対する治療(眼底の網膜症に対する治療や心筋梗塞に対する治療など)と、血糖値を下げるための治療に二分できます。ここでは血糖値を下げるための治療についてざっと書きます。

I型糖尿病

I型糖尿病血糖値を下げる唯一つのホルモンであるインスリンの働きがないので、インスリンを注射するのが唯一つの治療法です。生体は本来なら血糖値に合わせてインスリンの分泌量を調整するのですが、この自動システムは働かないので血糖値をみながらインスリンの投与量を決めることになります。とはいえ血糖値は大体毎日同じような動きをするので血糖値がどのぐらいの範囲ならインスリンを何単位投与するかをあらかじめ決めておいて、どのぐらいの食事を摂る前にインスリンをどのぐらい打つかを決めて、毎日大体同じ時間に同じぐらい投与することが多いです。即ち、毎食前に血糖値をみて短時間作用型のインスリンを注射し、食後二時間ぐらいでまた血糖値の最大値を確認します。それから寝る前には丸一日ゆるく長く効くインスリンを投与します。そんなわけでインスリンを一日四回自己注射します。(朝昼夜食前と寝る前)以前は各食事前後と寝る前の、合計7回は自己血糖測定を、指から一滴血液を出して行わないといけなかったのですが、最近では一旦装着すると2週間、一分ごとに血糖値をスマホに送信してくれる持続血糖測定器(500円玉ぐらいのシールみたいな送信装置を腕に貼るだけ)ができたので血糖値を測る手間と苦痛が大幅に軽減されています。

II型糖尿病

I型糖尿病との違いは、インスリンが作れないとかインスリン作用がないとかではなくて、インスリンはある程度作れはしますが、血液中に流れ込んでくる糖を処理するに十分な量は作れない状況です。インスリンがない状態をインスリンの絶対的不足といいますが、II型糖尿病で起こる、インスリンを作ってはいるが必要な量には足りない状態をインスリンの相対的不足といいます。インスリンの相対的不足の原因は、糖分が血液中に多すぎる(食べ過ぎる。運動などで消費する量が少なすぎる。)ために、糖を処理するに必要なインスリン量が多すぎる状況が長く続くことで、膵臓がインスリンを作るのに疲弊してしまうことが原因です。疲弊に伴って症状が進行します。しかし、インスリンがないわけではないので、生活習慣を改めたり、飲み薬を使って治療をすることが可能です。

どんな治療法があるかをざっとまとめてみます。

  1. 食事療法&運動療法:上述のように食事から取り込まれる糖分が多すぎることで膵臓がインスリンを作るのに疲れてしまうことを避けるために、食事から入ってくる糖分を減らす、そして運動によって血液中の糖分を消費する療法です。II型糖尿病初期ならこれだけで糖尿病が改善されます。完全に治ることもありますし、少なくとも進行を抑えます。
  2. II型糖尿病では様々な薬を使って血糖をコントロールします。どんな薬が使われているのかとそれぞれの特徴を以下に示します。
  • ビグアナイド薬:肝臓が糖を作るのを抑制します。また、消化管から糖を吸収するのも抑制し、筋肉で糖が分解されるのを助けます。

    一言でいうと、糖の取り込みを抑えて分解を促進します。軽度の糖尿病でまず使われる薬の一つです。副作用としては下痢や悪心が起こることもあります。

  • スルホニルウレア(SU)薬:膵臓に鞭打ってインスリンの分泌を促します。
    ただし、そもそもインスリンを日夜作りすぎて疲弊している膵臓に鞭打って更に働かせるので、更に膵臓を疲弊させて荒廃させてしまうことになるので、最近ではあまり使われなくなりました。しかし糖尿病初期にこれを使うと血糖値は劇的に下がるので以前はよく使われていました。しかし膵臓を疲弊させてしまう他に、その時の血糖値に関わらずインスリンを分泌させるので低血糖を招くことも多いという副作用もあります。

  • 即効性インスリン分泌促進薬(ナテグリニド):短時間だけ膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促します。常時働きかけるわけではないので膵臓に対する負担はSU剤よりは軽いです。また、食後の血糖値だけ高い人に向いています。副作用としては低血糖があり得ます。

  • GLP-1受容体作動薬:食後の血糖値上昇時にインスリン分泌を促します。また脳の満腹中枢や胃腸に左葉して食欲を抑制して満腹感を得やすくします。

    食後の血糖上昇時だけに働きかけるので低血糖が起こりにくく、膵臓も疲弊しにくいというメリットがあります。また、食欲を抑制するので食べる量が減ることで自然にダイエットできて痩せます。この分野の薬は更に付加機能がついているものもあり、ダイエット薬としても非常に人気があります。体重減少機能がかなり確実なので食事療法を行ったと同じ機能もついてくるので、血糖値改善効果は非常に大きいです。

    ダイエットのために使いたいという人も続出で、その意味でも大人気の薬ではありますが、糖尿病ではない人には保険が適応されません。

    副作用はあまりなく、悪心、下痢、などが起こることもありますが、一過性で軽快することも多いです。

  • DPP-4阻害薬:GLP-1の分解をするDPP-4を阻害することで、結局GLP-1の働きを助ける薬です。糖に対する作用はGLP-1受容体作動薬よりマイルドです。
    GLP-1が食後の高血糖時だけに作用することからGLP-1と同じく、低血糖の心配は少ないです。

  • イメグリミン薬:ミトコンドリアの機能改善により、血糖値が上がった時にインスリン分泌を促す作用 と、肝臓及び骨格筋で糖を作るのを抑制して糖を取り込む作用を促進する作用 によって血糖値を下げます。血糖値が上がった時にのみ下げる効果をもつので、低血糖は起こりにくいです。

  • チアゾリジン薬:肥大化した脂肪細胞を小型脂肪細胞に変換することで筋肉や脂肪における糖の取り込み効率を上げます。この結果、同じインスリン量でも効果が増大します(インスリン効率が上がる)。また、肝臓における糖の新生を抑制します。

  • SGLT2薬:尿から糖分を捨てるという面白い発想の薬です。

    そもそも糖尿病という名前の由来は、血液中の糖分が上がりすぎて尿中に糖が出てくることにあるので、尿に糖が出るというのはネガティブなイメージでした。ところがこの薬はその点を逆に利用したものです。すなわち、血液中に余っている糖分を積極的に尿から捨てることで敢えて尿糖を増やし、一方で血液中の糖分を減らすという薬です。この結果、尿糖は著明に増えるのですが、血液中の糖は尿に糖を捨てた分だけ減ります。このため血糖値が改善するのです。なお、糖を捨てるということはカロリーが身体の外に出ていくという意味もあり、痩せる作用もあります。

    元々人類は(他の生き物もそうですが)、糖分を如何にして保持してカロリーを蓄えることで生きていくかという方向に進化してきました。エネルギーがないと餓死してしまうからで、次の食事にいつありつけるかわからないからです。このため尿から糖を逃がさないように近位尿細管にSGLT2という受容体があり、ここでブドウ糖を再吸収してもう一度血液中に戻し、尿には出さないという作用を持っています。このSGLT2受容体を抑制することで敢えて尿中に糖分を捨てるのがこの薬です。

    発売当初はそんな薬が意味あるのかと疑われたこともあった薬ですが、非常に効果が高く、糖尿病の改善だけでなく腎機能改善、心臓保護効果などもあることが次々に報告されています。ただ、副作用としては、尿量が増えるので水分摂取を積極的に行わないと脱水になることと、尿に糖分が多く含まれるので局部を清潔にしておかないと尿路感染などが起こりやすいことです。

  • αグルコシダーゼ阻害薬
    食事からとった炭水化物が小腸でブドウ糖に分解されて、そこから血液中にとりこまれていくのですが、この炭水化物分解を遅らせる薬です。これによってブドウ糖が取り込まれる速度が遅くなって、急峻な血糖上昇が起こらずゆるやかな上昇になります。血糖値のピークを抑え、ゆっくり糖を分解すればいい状態をつくりだすので糖を効率よく取り込むことがよりやりやすくなります。

    副作用は、消化を敢えて悪くしているため腸に刺激がいって、ガス、下痢、便秘になることもあり、薬を食前に飲む必要があるので飲み忘れることもあるかもしれないということです。

    以前は糖尿病初期には劇的に効くのでSU剤が中心でしたが、長く使うと膵臓が疲弊することが分かり、同時に新薬も色々出てきたのでSU剤使用任期は衰退しました。その後はDPP—4薬が人気の中心だった時期もありました。これは今でもある程度人気ですが、最近ではSGLT2が確実に血糖値を下げる上に心臓を守る効果もダイエット効果もあるとわかって大人気です。またGLP-1作動薬は低血糖を起こさずに確実に血糖値を下げる上にほぼ確実に体重を落とす効果があることがわかり、最近では一番人気かもしれません。ただしそれぞれの薬に利点と欠点があるので全体としてその人に合う薬をその人ごとの組み合わせと量で使うことが重要です。