糖尿病
これは生活習慣病の中で最多ともいっていいものですが、実は内分泌の疾患です。
膵臓から色々なホルモンが出ますが、その一つがインスリンというホルモンで、食事などによって血液中に取り込まれた糖分を血糖と言いますが、人間を含めて多くのいきものはこの血糖を細胞内に取り込んで、生きていく上でのエネルギーとして活用します。
しかしながら糖分を細胞内に十分に取り込めなくなった状態が糖尿病です。インスリンの相対的な不足があると取り込まれなかった糖分は体のエネルギーにはならずにそのまま尿から排泄されます。
そもそも人間は(他の生物でもそうですが)、飢餓と常に戦ってきたので、生きるために血糖値を上げるホルモンは色々あるのですが、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。
飽食の時代が来るなどは想定されていなかったので、いかに血糖値を維持して飢餓を生き残るかに重きを置いているのです。
糖尿病の原因がインスリンの相対的な不足と私は書きましたが、これはインスリンの不足にはいろんなパターンがあるからです。
タイプ1は、膵臓からインスリンが分泌されないことです。これで何が困るかというと、食事から摂取した糖分を細胞内に取り込めず、生きていくためのエネルギーが不足することです。
同時に血糖値は際限なく上がります。この場合はインスリンを注射で投与しないと生きていけません。
タイプ2は、膵臓からはそこそこの量のインスリンが分泌されていますが、口から摂取する糖分が多すぎるので膵臓から頑張ってインスリンを分泌しても全部は取り込めないので、一部だけ吸収して、取り込めなかった分は血液中に残してしまうパターンです。この場合は必要な生体エネルギーは足りているどころか過剰なこともありますが、血糖値が高くなりすぎるのが問題ですです。
タイプ1は生まれつきだったり、それまでは全く問題なかったのにある日突然インスリン抗体などができてインスリンが作用を失うことがあります。タイプ2は元々の体質に加えて生活習慣(食べ過ぎなど)が発症に関わります。タイプ1はインスリン注射が必要ですが、タイプ2は程度に応じて生活習慣で改善することも多いです。
今お伝えしたように糖尿病には上述のように二つの問題があります。
細胞内にエネルギーを取り込めないという問題は呼吸や体温維持や体を動かすなどのエネルギーが足りないということでその影響は生命維持に関わります。
もう一つの問題は血糖値が異常に高くなってしまうことです。血液電解質の濃度の大切さは他の項に書きましたが、血糖値が高くなると電解質濃度も異常になります。
従って、電解質異常の症状が出ます。それに元々血管は浸透圧の高い液体が流れるようにできていないので、常に高血糖にさらされていると血管壁が炎症を起こして硬くなり、動脈硬化が起こります。その結果、血管のしなやかさが失われ、特に細い血管が詰まりやすくなります。よく詰まるのは腎臓や眼底の血管で、このために腎不全や視力低下、失明(糖尿病による失明は失明原因の二位です。かつては一位でした。)も起こり得ます。それに加えて、本来サラサラである血液が粘稠でドロドロになっているため、この点からも血管が詰まりやすくなります。一方で血管がしなやかでないので、つまりカチカチ状態なので、折れたり穴が開いて出血などもあります。特に、心臓の冠動脈や脳の血管が詰まる場合は、いわゆる心筋梗塞や脳梗塞を起こして、命に関わります。
また、高血糖の状況が長いと免疫状態が落ちるので、感染症にも、がんにもかかりやすくなります。実際に糖尿病患者の死因は一位ががん、二位が感染症、三位が血管障害です。
このため、糖尿病では、血糖値を正常範囲近くまで下げること、細胞内に栄養を十分に送り込むこと、この二つを目標にさまざまな戦略で治療を行います。
なお、潜在的(まだ治療していない患者も含めて)糖尿患者は日本に一千万人以上はいると考えられていて、程度は色々ですが、今や糖尿病は国民病です。これは日本が飽食の時代にあって、糖分を摂りすぎるために糖分処理が追いつかない傾向があるのも一因です。
高血圧
血管にかかる圧力が高すぎると、動脈硬化が起こりやすいので、その結果血管のしなやかさが失われて、折れて出血したり、内腔が狭くなって詰まったりするリスクがあるため、血管に圧をかけすぎないように、ただし圧が低すぎると十分な血流が流れないので、いろんな戦略で血管の圧を適度なところまで下げます。
脂質代謝異常
LDL,TG,HDLの3つをみることが多いです。血液中にLDLが多すぎると、あるいは血管壁に付着して動脈硬化が起こるリスクが増えます。
他にも、TGが多すぎて、そのTGを分解して下げようとして膵臓が頑張りすぎて炎症を起こしたり、肝臓にも脂質が蓄えられすぎて肝機能が悪くなったりします。
一方で、HGLは血管内の脂質を掃除してくれるタイプの脂質なので、これは少なすぎると掃除が行き届かず、問題になります。
高尿酸血症
血液中の尿酸は特に血液が酸性に傾くと固体として析出します。
その結果、関節に析出して関節炎を起こしたり、腎臓に析出して腎臓を石灰化させます。
関節に起こる痛風発作はとても痛いので気をつけている人も多いですが、腎臓の石灰化は全然痛くないうちに進行するのであまり気にせず治療しない人も多いです。
しかしこれは腎不全の原因になります。一方で尿酸は抗酸化作用があるという報告もあり、高過ぎず適度に存在することが良いようです。