これまで、ホルモンの関連する疾患についてお伝えしてきました。しかし内分泌的な要因でもたらされる体調不良は、病気でない場合も多く認められます。それは、ホルモンの産生、分泌が加齢によって変化し、このために訪れる体調不良です。これは誰にも起こる生理的なものなので病気とはいえない状態です。更年期状態とか更年期症候群ともいわれますが、女性だけでなくて男性にも必ず起こります。
ホルモンの加齢変化について
これは自費診療の項でも説明しますが、ホルモンは様々な身体機能を担っています。そして個人差はありますが40歳以降あたりから性ホルモンを中心に、作られる両が減少して、それに伴って体調も変化します。
次のグラフで、横軸が年齢、縦軸が各ホルモン産生量です。なお、前の項で話した色々なホルモンは加齢によってほとんど減少しません。しかし下に示す種類のホルモンは加齢と共に激減します。
年齢と共にこれらのホルモンが減少していくと、そのホルモンが担っていた機能も弱くなります。では、これらのホルモンがどのような機能を担っていたのかをざっとみてみます。逆にいえばこれらの大切な機能が弱くなるために様々な症状が出てくるのです。
エストロゲン
エストロゲンにはE1,E2,E3がありますが、E2は卵巣でしか作られません。E1とE3は脂肪組織でも作られるのである程度以上の年齢の方は太っている人の方が多少肌がみずみずしいのはみなさまも経験からご存じかと思います。しかし、エストロゲンの作用の多くはE2が担っているので、E2が不足すれば、言い換えれば卵巣機能が低下、停止すればエストロゲン機能は激減します。卵巣機能の一つの指標は月経であり、閉経後に体質が変わることは良く知られています。即ちE2が閉経まで担ってきた働きは、心臓病予防、動脈硬化予防、がん予防、尿路感染症予防、眼の黄斑変性症予防、白内障予防、骨粗鬆症予防、アルツハイマー病予防、うつ状態予防、皮膚の弛み予防、気持ちのむら予防、非尿生殖器の萎縮予防などですが、更年期にはこれらの機能が一気に激減するので心身の調子が不安定になります。
しかしむやみにE2を投与することは子宮がんや卵巣がん、乳がんのリスクとなるといわれています。ところがその後、プロゲステロンと共に投与することで発がん性は増えないということが確認されてコンセンサスになっております。
また、エストロゲン値をむやみに増やすと血栓のリスクが高まるといわれておりますが、日本で一般に投与されるエストロゲン剤は分子配列が自然の配列と違っており、この人工配列の作用ではないかともいわれております。というのも、保険で投与されるエストロゲン、プロゲステロンは分子の安定性を高めたり、特許の関係もあって、安価に大量生産できるように人工的な配列で合成されているからです。これに対して、当クリニックでは、自然に身体にあるE2と完全に同じ配列で作られているE2を投与することをお勧めしています。
プロゲステロン
卵巣でのみ生産されるホルモンで、子宮、乳房、骨、血管壁、脳に働きかけます。プロゲステロンは特に妊娠中には不可欠ですが、妊娠時以外でも、気分の落ち込み改善効果、子宮がん予防、乳がん予防、骨粗鬆症予防、卵巣嚢腫予防、卵巣がん予防、動脈硬化予防の効果を持ちます。しかし更年期にはエストロゲンよりも先にプロゲステロンの値がゼロになってしまいます。この激減の仕方は激しくて、更年期症状を生み出しているのはプロゲステロンの激減が一番の原因だと考えられています。
なお、これに対しても当院では分子が人工配列ではなく、完全に自然配列と同じプロゲステロンを用意します。なお、プロゲステロンは男性には元々ゼロです。(エストロゲンは男性にも多少あり、テストステロンも女性にも多少ありますが、プロゲステロンは女性に特有です。)女性の方が寿命が長い傾向にあるのは、閉経までは少なくともプロゲステロンとエストロゲンに守られてきたからだとも考えられています。
テストステロン
卵巣、副腎、精巣から分泌されます。男性ホルモンと呼ばれていますが、女性にもある程度存在しています。テストステロンは積極性、充実感、幸福感、気分の高揚、筋肉の増量、脂肪の減少、血中脂質の減少、血糖値の減少、性的能力の増加、記憶力の向上、意欲の向上を担い、総じて人生が楽しくなるホルモンであるといわれています。これが減少することは男性の更年期のみならず、女性の更年期にも起こり、つまり疲れたとか人生がつまらないと常に感じる要因の一つだと思われます。
なお、男性には、女性の更年期ほど、短期間に急激にホルモンが減るという現象は起こりません。男性はゆっくり更年期が訪れてゆっくりホルモンが減少していく傾向がありますが、やはり最終的には激減します。
テストステロンに関してもナチュラルホルモンを当院では処方できます。
DHEA
DEHAは代謝を異化から同化に修復させる副腎ホルモンです。わかりやすくいいますと、身体をしっかり作っていくホルモンです。DHEAを材料にして色々なホルモンが作られるので、他のホルモンの前駆体であり、DHEAが不足したら他のホルモンも不足します。DHEA事態の働きは、免疫系の老化防止、不眠の改善、骨粗鬆症の予防、アテローム動脈硬化予防、糖尿病予防、心臓疾患予防、内臓脂肪低減などです。これも当院ではナチュラルホルモンを用意できます。
メラトニン
メラトニンは日内リズムにも関連していて、メラトニンが十分にあると質の良い自然なリズムの眠りをもたらします。他に、片頭痛、群発頭痛の改善、睡眠剤による人工的な睡眠からの脱却として使われることもあります。
これに関しても当院ではナチュラルホルモンを用意できます。
ナチュラルホルモン補充療法
いくつかの年齢と共に確実に減少するホルモンについてお伝えしました。すなわち、あなたは何の疾患にもかかっておらず、全ての体調があなたの年齢としては適正であったとしても、年齢とともにその適正値が下がっていくのでやはり体調は悪いということも多くあります。もちろんその体調の変化を自然なものとして受け容れて自然にまかせるのも潔い素敵な生き方です。しかしもしあなたが、年齢と共に低下していく「正常値」に納得できず、そのホルモンの「年齢正常値」ではなく、「理想値」を目指すことで、よる活力のある若い状態に身体を保ち、QOLを上げたいとお考えなら当院は力になれます。
具体的には、当院では、あなたのホルモンの状態を検査して把握し、あなたに不足しているホルモンをみつけだして必要なホルモンを必要な量だけ、最適なバランスで補充することで体調の改善を目指します。なお、その際には不足しているホルモンだけを考えればいいのではなく、各種ホルモンのトータルバランスが必要です。
一方、日本国内で処方できるホルモンは安価ですが、ホルモンの安定性や特許などの関係もあって人工的な配列が組み込まれており、身体の中に本来あるホルモンとは少し違っています。この配列の違いが血栓などの副作用の原因ではないかともいわれています。当院で処方するのは本来ヒトの体の中にあるホルモンと完全に一致した構造を持つナチュラルホルモンなので、人工的な構造が生み出すかもしれない副作用は起こりえません。
しかしながら日本国内でナチュラルホルモンは製造されておりません。アメリカなどから輸入したいところですが、アメリカでは日本からのホルモン剤の直輸入は禁止されております。
また、保険制度は病気の人を治すためにあるので、まだ病気になっていない人の疾患予防や、QOLをあげることには保険は適応されません。病気ではないのに高価な薬を使うことに税金は使えません。また、ナチュラルホルモンは厚生労働省の認可を受けておりません。
その意味からこの治療は全て自費治療であることをご了承いただければ幸いです。
このナチュラルホルモン療法に関しては、現在アメリカの、Preventive Medicine Clinics of the Desert/PMC (Palm Spring, California)の医療ディレクターを務めながらナチュラルホルモン補充療法と予防医学に関して教鞭を取っておられるニール・ロージェ医師(この分野の権威であり第⼀⼈者)に⼀⼈⼀⼈の患者様の現在のホルモン⾎中濃度と⾝体のバランスデータを送って、診断の上その⼈に合わせたナチュラルホルモン処⽅箋を 出していただき、その処⽅箋に基づいてナチュラルホルモンをアメリカ、あるいはニール先⽣と提携しているオーストラリアの病院から必要なホルモンを必要なバランス で送っていただきます。
ナチュラルホルモン療法にかかる費用は、3種類です。
第一は、どのホルモンが不足しているのか不足していないのか、そして身体の状態色々を調べる「血液検査費用」(これは当院で検査いたします。この結果は米国医師のニール先生に送ります)。
第二は、アメリカのナチュラルホルモン第一人者であるニール先生の、「診断料 and 処方箋料」
第三は、ニール先生の処方箋に基づいてアメリカまたは提携しているオーストラリアの病院から送られてくる「ナチュラルホルモン」の薬代です。
なお、ホルモン治療にはその⾎中濃度が⾮常に⼤切なので、治療の流れとしては最初は少なめに処⽅して、⾎液検査を⾏いながら、体調も⾒ながら、徐々に理想的な濃度にまでホルモン量を増やしていきます。
具体的には、
⾎液検査料⾦ | 服用前 | 4万円 |
---|---|---|
服用後 | ホルモン濃度が安定したら半年毎に必要に応じて検査 :3万5千円 | |
⽶国医師処⽅料 | 初年度 | 4万5千円 |
2年⽬以降 | 3万円 | |
薬料 | 種類と量に依りますが1種類で7千円〜4万6千円/1ヶ⽉ |
完全にホルモンが枯渇してしまわない時期に、具体的には⼥性なら閉経から5年以内に投与開始する⽅が効果が⾼いとされています。ホルモンの受容体側の臓器が機能を有しているからです。
なお、まだホルモンが減少していないと思われる40歳以下の⽅のナチュラルホルモン治療は原則的にはお受けしておりません。また、ホルモン補充療法の効果は個人差もあり、全ての人が完全な体調をとりもどすわけではなく、ホルモンによって悪心、体調不良などを起こす可能性もあります。いずれにしても様々な悩みを抱えていらっしゃる方は一度相談に来られることをお勧めします。
点滴各種
ここに示しました点滴はホルモン治療とは違って継続する必要がないので、疲れた時、時間が出来た合間などにふと気軽に受けていただければと思います。即効性があり、来院時よりも帰られる時に活力がみなぎることが期待できます。
当院院⻑は、点滴療法学会に属し、より効果的で安全な点滴の最新情報を常にアップグレードすると共に、同学会から添加物や保存料を含まないビタミンC製剤やグルタチオン製剤の供給を受けております。
そしてこれらの点滴療法も、病気に対する治療ではないので自費医療です。詳細は自費医療の項目に記載しておりますが、ここではざっとした内容だけを示します。
1)にんにく注射
にんにく点滴、にんにく注射はビタミンB1が主成分です。ビタミンB1は、摂取した糖分を分解し、体や脳が活動するのに必要なエネルギーに変える働きを助けます。にんにく注射は蓄積した疲れ成分である乳酸を燃やしてくれます。⾎⾏も良くなって新陳代謝が⾼まり、残った疲労物質を洗い流してくれます。価格はニンニク注射が3000円、強⼒ニンニク注射が5500円です。
2)マイヤーズカクテル
アメリカのクリニックでは定番の点滴療法です。いわば、ニンニク点滴の強化版です。ニンニク注射の機能に加えて、ビタミン各種やミネラルの⾎中濃度上昇による神経伝達や筋⾁の疲労を改善する効果を期待するものです。価格は9000円です。
3)グルタチオン点滴
グルタチオン点滴をすると肌が⽩くつやがでる傾向があるために美容点滴として知られていますが、実はパーキンソン病の治療において注⽬されている点滴です。他にも、抗がん剤による神経障害や線維筋痛症などの治療にも効果的です。効能は、パーキンソン病、抗がん剤による神経障害や副作⽤の軽減、閉塞性動脈硬化症、線維筋痛症、過敏性腸炎、慢性疲労症候群、各種神経系疾患、アンチエイジング、美⽩などです。なお、帯状疱疹やCOVID-19からの回復効果があるということでグルタチオンの⼈気がたかまり、⼿に⼊りにくくなっておりますが当院では国内産の原料で、無添加で台湾で⽣産したグルタチオンを逆輸⼊しております。点滴費⽤は8000円です。
4)ビタミンC点滴
元々はアメリカで癌治療に効果があることから始まったのですが、その過程で美肌、疲労回復、健康増進などの効果が認められ、アンチエイジング分野でも⽤いられるようになりました。がんでは⾼濃度ビタミン点滴を行うのですがアンチエイジング⽬的の場合はそこまで⾼濃度にはせず、中濃度から低めの濃度で投与します。当院では中等度から低めの濃度の点滴のみを行います。なお、当院で使用しているビタミンC製剤は、最もNa濃度の低い、さらに保存料や安定剤を含まない国産原料のビタミンCです。この無添加ビタミンCは英国産の材料を⽇本国内で製造したものです。なお、稀にビタミンCの代謝に必要なG6PD酵素が⽋損されている⽅がおられるので、25gのビタミンCを点滴する場合には⽣まれつきのG6PD酵素の⽋損がないかどうかを初回の点滴前にチェックさせていただきます。従って、低濃度ビタミンC投与の場合は必要ありませんが、中濃度となる25gを投与する場合はその前に初回だけ、G6PD酵素の⽋損がないかどうかの検査をさせていただきます。所⽤時間は10分程度ですが、キットを⽤いますので費⽤が6000円かかります。なお、ビタミンC点滴⾃体の費⽤は12.5gで1万2千円、25.0gで1万6千円です。
なお、いずれの点滴も、稀にアレルギーなどで合わないことがあり、その場合は中止して症状に対する治療を行います。