二日酔いに効く食べ物・飲み物7選。効果的な治し方と予防対策を解説
頭痛や吐き気、倦怠感などがつらい二日酔いはなるべく早く治したいですよね。
二日酔いの解消のためには、そのメカニズムを考慮した食事選びが重要です。
この記事では、つらい二日酔い症状を改善したい方に向けて、二日酔いの時の体の状態に適した食べ物や飲み物を紹介します。
食べ物・飲み物以外の対処法と、次の機会に二日酔いにならないための予防策も紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
二日酔いとは?体の状態と原因を解説
二日酔いはアルコールを多量に摂取したことを原因に、翌日などに起こる体調不良の通称です。
具体的な症状としては、以下のようなものが起こることが知られています。
- 頭痛
- 胃もたれ、吐き気、嘔吐などの胃腸症状
- 眠りの質が下がる睡眠障害
- 集中力の低下などの感覚・認知障害
- 気分の落ち込み、うつ気分
- 動悸などの自律神経症状
二日酔いによってこれらの症状が起こるメカニズムについては詳しく解明されていませんが、以下のような体の状態が組み合わさって二日酔いの症状が起こると考えられています。
- ホルモン分泌変化による脱水症状、低血糖
- アルコール代謝でできるアセトアルデヒドの影響
- 酒に含まれるメタノールや不純物の影響
- アルコールや食べすぎによる肝臓や胃腸へのダメージ
二日酔いを解消するために必要なポイント
二日酔いの症状を緩和するためには、症状の原因となっている体のトラブルを解消する必要があります。
二日酔い解消のために取り組むべきポイントを5つに分けて紹介します。
脱水症状の改善
アルコール摂取により体内の水分量を調節するホルモン分泌に異常が生じ、二日酔い時の体は脱水症状により倦怠感などを感じることがあります。
脱水症状の改善のためには、水分を十分に摂取する必要があります。
このときの飲み物は、水分がより効率的に吸収されるよう、適度な塩分と糖分が含まれるものが望ましいです。
低血糖の解消
アルコール摂取は血糖値の調節を行うホルモンの分泌にも異常をきたします。
そのため、二日酔いでは低血糖に陥りやすくなり、頭痛・倦怠感(だるさ)・思考力低下などの症状がみられる可能性があります。
血糖値を上げる糖質を摂取することで低血糖は解消されますが、胃腸に負担を掛けない消化の良いものだとよいでしょう。
有害物質の排出促進
お酒に含まれるアルコールは肝臓でアセトアルデヒドを経由して酢酸に代謝されます。
このうちアセトアルデヒドは吐き気や動悸の原因となる有害物質のひとつで、二日酔いとの関連が強く推測される物質です。
また、お酒にはメタノールやその他の不純物が含まれており、これらも二日酔いの原因になると考えられています。
脱水症状の解消とは別に、体内の有害物質の濃度を下げて分解・排出をサポートするために水分を十分に摂取することが推奨されます。
肝臓の回復を助ける
アルコールは肝臓で代謝されるため、多量のアルコール摂取は肝臓のダメージとなります。
アルコールを多量に飲むような、肝臓に負担をかける生活を続けると、脂肪肝や肝炎のような疾患につながります。
肝機能を向上させるというよりは、肝臓に負荷をかけない食事をとることで肝臓の回復を助けましょう。
また、アルコールの代謝にはビタミンB1が多く使われることが知られています。
ビタミンB1の不足状態は二日酔いとは直結しませんが、消費されたビタミンB1を補充することも心掛けられるとよいでしょう。
胃腸に負担をかけない
吐き気や胃もたれといった二日酔い症状の原因の一つに胃腸のダメージが考えられます。
お酒に含まれるアルコールは胃腸の粘膜組織にダメージを与えたり、消化液の分泌や運動機能に影響したりすることが知られています。
これにより、胃もたれや胸やけ、消化不良、水分や栄養素の吸収悪化、下痢などが起こることがあります。
胃腸の負担を軽減するため、脂質や繊維質の少ない、消化の良い食事を摂ることが大事です。
二日酔いに効く食べ物・飲み物7選
ここまで紹介した二日酔い症状を改善するのに役立つ、「二日酔いに効く食べ物・飲み物」の具体例を紹介します。
それぞれ異なる特徴から二日酔いの症状をやわらげるのに適した食品となっています。
無理にすべてをとる必要はありませんので、手に入りやすく、口にしやすそうなものから取り入れてみてくださいね。
スポーツドリンク
二日酔いの時の体は脱水症状のほか、有害物質の排出のためにも多くの水分を必要としている状態です。
飲み物の中でもスポーツドリンクは電解質と糖分を含んでいるため水分が吸収されやすく、水分補給に適しているため二日酔いの時におすすめです。
加えて、多くはないものの糖分を含んでいるため、低血糖の解消にも役立ちます。
スポーツドリンクに含まれる糖質は消化管の負担も少ないのが利点です。
水分補給の観点では、特にアイソトニック飲料といわれる人体の浸透圧に合わせた配合の商品がおすすめです。
経口補水液も脱水状態にある時の水分補給に適していますが、飲みにくい場合が多いのが難点。
二日酔いの場合で脱水が重度でないのであれば、飲みやすいもので十分と考えます。
おかゆ・雑炊
おかゆや雑炊のように、やわらかく調理されたごはんは消化されやすく、アルコールによってダメージを受けた消化管に負担を掛けず、かつ低血糖の解消に役立つ食べ物といえます。
具材を入れても良いですが、その場合には消化の悪い繊維質や油脂分の少ない食材がおすすめです。
例えば、卵はたんぱく質源であり、加えると食事としてのバランスが良くなります。
その他には、梅干しは酸味で口がさっぱりするため、摂取量には注意が必要なものの、気持ち悪さがあるときにおすすめの食材です。
似たものとしては、お茶漬けなども近い特徴があります。
お粥や雑炊よりも手軽ですが、やわらかさはやや劣るので、体調に合わせて選ぶようにすると安心です。
うどん
うどんもお粥や雑炊と並んで消化管にやさしい食事として適しています。
コシの強いものではなく、なるべく柔らかく仕上げたものが望ましいでしょう。
冷たいものよりも、温かいつゆに入ったものがおすすめです。
ただし、うどんのつゆは塩分を多く含むため、塩分の摂りすぎによるむくみや脱水症状の悪化などの原因にもなりますので、飲み干すのはなるべく避けましょう。
また、うどんと同じ麺類でも、ラーメンやパスタは油脂分が多くなりやすく、消化管に負担をかけるので二日酔いの時にはあまり適していません。
みそ汁
味噌汁は塩分と水分を含み、消化管に負担をかけない食事のひとつです。
一方で糖質はあまり含まれないことが多いので、低血糖の解消には向きません。
胃腸の状態が悪く、しっかりとした食事は受け付けないというときに少しずつ胃腸を慣らしていくために取り入れるものと考えましょう。
味噌汁のような汁物はたくさん飲むと塩分によってむくみを招くので、飲み過ぎは注意が必要です。
ある程度の量の食事がとれそうなのであれば、糖質を摂取できるお粥やうどんなどを試してみましょう。
また、味噌汁の中でもシジミの味噌汁は二日酔い時の食事として定番ですが、実際の効果としてはあまり期待できません。(詳しい理由は後述します)
具材はシジミに限定せずとも、油脂分・繊維質の少ないものであれば良いでしょう。
用意しやすいものでは、絹豆腐が消化しやすくおすすめです。
味噌汁で水分と塩分をとりつつ、徐々に食事がとれるように慣らしていきましょう。
豆腐
豆腐は大豆製品の中でも繊維質や油脂分が少ないため消化されやすく、胃腸への刺激も少ないタンパク質食品といえます。
また、アルコール代謝で消費されるビタミンB1が摂取できるのも魅力です。
具体的な料理の例としては、湯豆腐、温奴、お味噌汁の具材として取り入れることで、胃腸への負担を抑えつつ栄養補給ができます。
同じ豆腐製品でも、油揚げや厚揚げのような揚げ物は油脂分が多く胃腸に負担をかけるので避けましょう。
野菜ジュース、果物ジュース
野菜ジュースや果物ジュースは糖質やビタミン・ミネラルを含む飲み物です。
コンビニやスーパーで購入でき、水分補給とともに栄養素もとりたいという場合に便利ですので、食欲のない場合や、うどんや雑炊の調理が難しい場合などに活用するのがおすすめです。
ただし、スポーツドリンクと異なり水分補給を考えた成分組成にはなっていないので、脱水時に最適という訳ではありません。
ビタミンドリンク
二日酔い時の飲み物として、ビタミンを含む栄養ドリンクも選択肢のひとつといえるでしょう。
糖質やビタミンB1を含むものであれば、単に水を飲むよりも二日酔いの体にはプラスになる飲み物といえます。
とはいえ、栄養ドリンクはサプリメントのようなものであり、通常の食品よりも多量のビタミン類を含んでいるため、過剰摂取の害を避けるためにも多量摂取は避けるのが安心です。
二日酔いに効く食べ物以外の対処法
二日酔いの解消には、食べ物以外にどう過ごすか、という点も大切です。
身体の負担を避け、肝臓のダメージや脱水症状を悪化させないために気を付けたいポイントを紹介します。
安静にする
飲酒時は夜更かししがちなことに加え、アルコールの作用により睡眠の質が下がるため、寝ているつもりでも十分な休養がとれていないかもしれません。
このような状態で無理に活動すると、体の回復を妨げてしまうかもしれません。
二日酔いの症状がある場合には無理せず、安静にし、十分に睡眠時間をとることで、体の回復を促しましょう。
迎え酒はしない
二日酔い時にさらにお酒を飲む「迎え酒」をすることで二日酔いの症状が和らげられる、と言われることもありますが、実際には逆効果。
アルコールの代謝で疲弊した肝臓や消化管に、さらにダメージを与えることになりますので、迎え酒はしないようにしましょう。
サウナや運動は避ける
飲酒の後に酔い覚ましのためにサウナに行くという人も少なくはありませんが、二日酔い時は脱水症状にあることが予想されるため、多量の汗をかくサウナや運動は避けましょう。
また、同様に汗をかく長時間の入浴も避けたほうが安心です。
二日酔い予防のために気を付けるポイント
二日酔いは起こってからの対処も重要ですが、できれば二日酔いを起こさないように、お酒を飲むときに対策をとるのが最善です。
二日酔いにならないために気を付けたいポイントを5つ、それぞれ詳しく解説します。
一気飲みは避けてゆっくり飲む
お酒を一度に多量に飲む「一気飲み」は、酔いが回る前に多量のアルコールを摂取してしまい、自分の許容量以上のアルコール摂取につながりやすいことが挙げられます。
短時間で多量のアルコールを摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に上がること・肝臓に負荷がかかることから、二日酔いでも見られる頭痛、吐き気などの体調不良を起こしやすくなります。
アルコールによる体調不良を避けるためには、一気飲みは避け、ゆっくりと飲むことが重要です。
また、度数の低いお酒を飲むことも、アルコール摂取のペースを落とすことに近い効果が得られます。
お酒と一緒に食べ物もとる
空腹状態でお酒のみを胃に入れる場合は、そうでない場合と比較して単に飲むペースが速くなることに加え、吸収が阻害されないために血中アルコール濃度が上がりやすくなってしまいます。
お酒を飲むときはおつまみ(食べ物)も一緒に食べることで、お酒を飲むペースを落とし、かつ、食べ物によってアルコールの吸収が緩やかになります。
食べ物の種類に特に指定はありませんが、胃腸に負担を掛けないようにすることを考慮すると、おつまみが油脂分の多い揚げ物や脂身の多い肉料理ばかりにならないよう気を付けられるとさらに良いでしょう。
チェイサー(水)を一緒に飲む
薄いお酒が好みではなく、濃い目のお酒が好き、という人には、お酒の濃さはそのまま、チェイサー(水)を一緒に飲むことをおすすめします。
お酒を飲みながら同時に水を飲むようにすると、飲むペースを落とし、飲み過ぎるのを防ぎます。
また、水によってアルコール濃度を下げる効果が得られるため、過剰なアルコール摂取や二日酔いを避けるにはおすすめの方法のひとつです。
加えて、二日酔いの症状は脱水によって起こるとも考えられていますので、あらかじめ水分をとっておくことで、脱水症状を緩和することも期待できそうです。
自分なりの適量を把握する
お酒を飲んで二日酔いにならないためには、まずは飲みすぎないことが第一です。
しかし、アルコールへの耐性は体重、性別、体質などによる個人差が大きく、体調不良をきたさない「適量」に万人に適用できるラインはありません。
二日酔いにならないためには、これまでの経験を踏まえて自分なりの適量を知っておき、その範囲内でお酒を楽しむようにしましょう。
また、同じ人であっても、その日の体調によってはより少ない量でも体調不良を起こすこともありますので、自分の飲める量とその日の体調に応じて、健康を害さない無理のない量を心がけましょう。
カフェインの摂取を避ける
二日酔いを予防するためには、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインはアルコールとの同時摂取は避けましょう。
カフェインには覚醒作用があり、お酒を飲んだ時の酔った感覚を感じさせにくくするため、実際の許容量以上に飲み過ぎることにつながりやすくなります。
また、カフェインは利尿作用により体内の水分排出を促すため、体内の水分を減らして脱水症状を起こしやすくしてしまいます。
二日酔いの頭痛対策としてカフェインを含む飲み物が勧められることがありますが、体にはあまりプラスとは言えないため、お酒と組み合わせるのは避けたほうが安心です。
ウコンやシジミを過信しない
ウコンを含むドリンクは二日酔いの予防対策として有名であり、多くの人が試したことがあるのではないでしょうか?
ウコンは漢方薬として使われる食品のひとつで、ターメリックという名前でスパイスとしても知られています。
ウコンに含まれるクルクミンと呼ばれる成分は、抗炎症作用や肝機能の改善効果が期待されています。
これにより、ウコンは二日酔い予防効果があるような食品に使われていることも少なくありませんが、実は必ずしも効果があるとは言えないのが実情です。
その理由はいくつかあり、物質としての安定性が低いこと、体内に吸収されにくいこと、ヒトでの有効性が十分に証明されていないことなどがあります。
ウコンを摂取しても全くの無意味ということはではないものの、正しく効果を得るための摂取量などの基準が分かっていないため、ウコンを含む食品を摂取したとしても、「誰にでも等しく効果がある」「絶対に二日酔いにならない」とは言えないことに注意しましょう。
また、しじみの味噌汁も二日酔い時の食事として定番ではないでしょうか。
これは肝臓の代謝反応に必須である「オルニチン」というアミノ酸がシジミに多く含まれるためで、オルニチンが豊富なシジミがアルコール代謝で負荷のかかった肝臓の働きを回復させるのに役立つと考えられているようです。
しかし、オルニチンは基本的に必要な分を体内で合成でき、さらに体内で使った分も再利用されるため、食事から摂取する必要性はあまりないと考えられます。
しじみの味噌汁は二日酔いの体に優しい食事のひとつではあるものの、必ずしもシジミにこだわる必要はありません。
おすすめの食べ物・飲み物で紹介したものから、食べられそうなものや用意しやすいものを摂るのがよいでしょう。
まとめ
二日酔いの改善のためには、二日酔い時の体の状態に合った食事選びや行動が重要です。
具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。
- 十分量の水分を摂取する
- 糖質を取れる消化の良い食品を食べる
- 肝臓や胃腸に負担をかける食品は避ける
- 体の水分を排出する食品、活動は避ける
また、今後二日酔いにならないために、予防することも重要です。
健康的にお酒を楽しむためにも、自分の適量を守り、無茶な飲み方はしないように心がけたいですね。
参考文献
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「オルニチン、アキウコン、クルクミン」
厚生労働省:「『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』ウコン」
上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8
中村宜督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部, 2022.7
記事監修
院長 渡邉 秀美代
- お茶の水橋交番横クリニック 院長
- 医学博士
- 総合内科認定医
- 内分泌内科専門医
- 内分泌内科指導医
- 産業医
- JSCTR認定GCPパスポート(日本臨床試験協会)
管理栄養士 平井 しおり
2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。
現在は、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。