痛風で食べてはいけないものの一覧表。プリン体の多い食品など尿酸値を上げる食べ物を解説
痛風は生活習慣病のひとつであり、その原因や改善には食事内容が深く関係しています。
痛風の改善や予防のために注意すべき食べ物や飲み物にはどんな物があるでしょうか?
この記事では、痛風と診断された方に向けて、痛風の予防と改善のために避けるべき「食べてはいけないもの」の具体例を紹介します。
プリン体やアルコールなど、痛風に悪影響を及ぼす成分を含む食品を一覧で紹介しますので、是非参考にしてくださいね。
痛風とは?症状と原因を解説
「痛風」とは、関節などに尿酸の結晶が析出して炎症(急性関節炎)を起こす病気のこと。
生活習慣の乱れにより血液中で尿酸が増えすぎること(高尿酸血症)が原因で起こり、痛風発作と呼ばれる症状のほか、別の病気の発症に関係することもあります。
痛風の症状と原因、関連する病気について解説します。
痛風の症状
痛風の症状として代表的なのが「痛風発作」です。
痛風発作は足の親指などの関節で激痛が起こる症状で、関節にたまった尿酸の結晶が剥がれ落ち、その排除の過程の炎症反応による痛みを起こします。
また、尿酸の結晶が大きくなると関節周辺がコブのようになる「痛風結節」ができることもあります。
痛風の原因
痛風の原因は「高尿酸血症」です。
高尿酸血症とは血液中の尿酸濃度が高くなりすぎる疾患で、尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症が進行すると尿酸が関節などで結晶化することで痛風の症状が起こります。
高尿酸血症が起こる原因には、以下の要因が関係しています。
- 遺伝素因
- 肥満
- プリン体、脂肪、たんぱく質、果糖の食べ過ぎ
- アルコールの飲みすぎ
- 運動不足または激しい運動
- ストレスや睡眠不足
痛風の原因である高尿酸血症の発症にはこれらの生活習慣が関係していることから、高尿酸血症および痛風は「生活習慣病」のひとつと考えることができます。
痛風に関連して起こる病気
高尿酸血症では、痛風以外にも様々な病気の原因となります。
- 尿路結石…腎臓、膀胱、尿管で尿酸の結石ができ、痛みを起こす
- 腎障害…腎臓内に尿酸結晶が蓄積して腎機能が低下する
- 心血管疾患のリスクを高める…高血圧、冠動脈疾患、脳卒中、心房細動、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂肪肝のリスク因子
高尿酸血症は痛風発作が起こらなければよいというわけではなく、その他の生活習慣病とも深く関係しています。
心臓・脳の血管疾患は命にも関わるため、早めの生活改善が必要です。
痛風改善のための食事のポイント
痛風の原因には生活習慣、特に食生活が深く関わっています。
そのため、痛風の予防、高尿酸血症の改善のためには食事の改善が大切です。
痛風の改善・予防のために意識したい食事のポイントは以下の通り。
- カロリーのとりすぎに注意し肥満を解消する
- プリン体の摂取を控える
- アルコールの摂取を控える
- 十分な水分を摂取する
- ビタミンCを積極的にとる
- 尿をアルカリ化する食品をとる
- 野菜と果物を増やし、肉と脂肪を減らす
- 果糖の摂り過ぎに注意する
痛風の食事療法について、それぞれの詳しい内容を以下で解説します。
カロリーのとりすぎに注意し肥満解消
痛風の改善のためには食べ過ぎを避け、肥満の解消を目指しましょう。
肥満の中でも特に内臓脂肪型肥満は尿酸値を上昇させる主な要因の一つです。
肥満を解消することで尿酸値の低下や痛風発作の頻度減少が期待されます。
具体的には、食事の摂取カロリーを適正な範囲に抑え、体重を減らして肥満を解消することを目指しましょう。
単に食事量を減らすことだけでなく、バランスの取れた食事内容を心がけましょう。
調味量を控えめにして食塩摂取量を少なくするよう取り組むと、肥満のほか高血圧の予防・改善に効果的です。
ただし、適切な摂取カロリーは、身長から計算される標準体重と日常的な運動量をもとにして決まるため、個人差があります。
さらに、急激な体重減少は尿酸値の上昇につながる可能性があるため、ゆっくりとしたペースでのダイエットが推奨されます。
そのため、1日の摂取カロリーの制限量については、個々の状況に応じて設定する必要があります。具体的な目標数値は、医師や管理栄養士と相談して決定することをおすすめします。
プリン体の摂取を控える
プリン体の摂取量を抑えるため、プリン体を多く含む食品は控えめにしましょう。
プリン体は食品中に含まれ、分解されると尿酸を生成し、尿酸値を上げる成分です。
そのため、高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版では、プリン体の1日の摂取量の目安として、1日あたり400mgまでに制限することが示されています。
プリン体の摂取量を減らすためには、プリン体を多く含む食べ物を控えめにすることが基本です。
■食品に含まれるプリン体の量
100gあたりのプリン体含有量 | 食品の例 |
きわめて多い(300㎎以上) | 鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、フグ、タラ)、あんこう肝(酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など |
多い(200~300㎎) | 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ) |
中程度(100~200㎎) | 肉(豚、牛、鶏)の多くの部位、魚類、ほうれん草(芽)、ブロッコリースプラウト |
少ない(50~100㎎) | 肉類の一部(豚・牛・ヒツジ)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれん草(葉)、カリフラワー |
極めて少ない(50㎎未満) | 野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版より作成
プリン体含有量が中程度~多い食品は食べてはいけないということはありませんが、控えめにして1日あたりのプリン体摂取量が400mgを超えないように注意しましょう。
また、中でも乾物の小魚やサプリメントは少量でもプリン体含有量が高いため、特に注意が必要です。
これらの食品は摂取量や頻度に気を付け、多量に摂らないようにしましょう。
さらに、肉類や魚介類を薄く切ってから湯通しすることで、プリン体を溶け出させて減らすことができます。こうした方法を取り入れて、日々の食事でのプリン体摂取量を適切に管理しましょう。
アルコールの摂取を控える
アルコールを含む酒類は過剰摂取を控えましょう。
アルコールは肝臓で分解される際にプリン体を分解して尿酸を生成し、尿酸値を上昇させてしまいます。
また、アルコール摂取量が増えると痛風発症リスクも高まるため、アルコールの摂取量は適正範囲内に抑えるようにしましょう。
特に、ビールなど一部のアルコール飲料は、アルコールに加えてプリン体も多く含むため、アルコール量とプリン体の量の両方に注意が必要です。
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版では、尿酸値への影響を最小限に抑えるためのアルコール摂取量の目安を以下のように示しています。
- 日本酒…1合(180ml)
- ビール…350~500ml(製品によるアルコール度数やプリン体含有量の違いあり)
- ウイスキー…60ml(ダブル1杯)
- ワイン…148ml(約1杯強)
また、痛風の改善のためだけでなく、アルコールによる健康への影響を避ける目的でも、週に2日程度の休肝日を設けることも推奨されます。
十分な水分摂取
痛風の改善のために、十分な水分摂取を心がけましょう。
尿酸の排泄を促し、尿酸値を低く保つためには十分な水分摂取が重要です。
さらに高尿酸血症では尿路結石が起こりやすいことも知られているため、尿路結石の予防としても、1日の尿量が2リットル以上となるような水分補給が推奨されます。
就寝前、寝起き、入浴前後など、体の水分が失われやすいタイミングでの水分補給が効果的です。
ただし、腎臓の機能が低下している場合には、水分摂取量に制限があることがあります。
医師に相談の上、適切な水分摂取量を決めるようにしましょう。
ビタミンCを積極的にとる
ビタミンCを積極的に摂取することで、尿酸値の低下が期待でき、痛風の改善に繋がります。
ビタミンCは野菜や果物に含まれるビタミンであり、これらの食品を積極的にとることが推奨されます。
ただし、ビタミンCは過剰摂取すると尿路結石の発症・再発に関与することから、ビタミンCを高濃度に含んだサプリメントや健康食品には気をつける必要があります。
尿をアルカリ化する食品をとる
痛風の合併症である尿路結石の予防のため、十分な水分摂取と合わせて尿をアルカリ化する食品の接種も重要です。
尿酸は酸性の環境で結晶化しやすいため、尿のpHが酸性に傾いていると尿路結石につながりやすいことが知られています。
尿をアルカリ化するには、有機酸を多く含む食品のほか、DASH食の要素を取り入れた食事が推奨されています。
- 有機酸を含む食品…クエン酸、酢酸、乳酸などを含む食品(果物、野菜、酢、ヨーグルトなど)
- DASH食…高血圧予防のために考案された食事モデル(果物、野菜、低脂肪の牛乳・乳製品を増やし、脂肪分、飽和脂肪酸、コレステロールを減らす食事)
また、以下の食事内容は尿を酸性に傾けると言われていますので、避けることを意識しましょう。
- たんぱく質や動物性食品の多量摂取
- 絶食
極端な食事は避け、バランスの取れた食事を心がけるようにしましょう。
野菜と果物を増やし、肉と脂肪を減らす
前述の内容と重なりますが、食事で野菜や果物を増やし、肉と脂肪分を減らすようにすると、尿酸値の低下が期待でき、痛風の改善につながります。
「DASH食」「地中海食」「果物・大豆食」は、いずれも野菜や果物を多く摂取し、肉類や脂肪分の摂取量を控える食事スタイルです。
名称 | 積極的に食べるもの | 控えめにするもの |
DASH食 | 果物、野菜、低脂肪の牛乳・乳製品 | 脂肪分、飽和脂肪酸、コレステロール |
地中海食 | オリーブオイル(植物油)、豆、ナッツ、果物、魚介類 | 赤肉、高脂肪食、焼き菓子、スナックなど |
果物・大豆食 | 果物、大豆 | 指定なし |
これらの食事スタイルは、痛風の改善のために心がけたいポイントに適合しやすい内容になっているのが特徴です。
- 肥満解消のための摂取カロリー適正化
- プリン体の摂取制限
- ビタミンCの摂取
- 尿をアルカリ化する食品の摂取
食事選びの際の目安に役立つので、是非参考にしてくださいね。
果糖の摂り過ぎに注意する
果糖を含む食品はとりすぎないように気をつけましょう。
果糖は糖質の一種で、砂糖やガムシロップ(果糖ブドウ糖液糖)に多く含まれています。
果糖を含む食品として、コーラなどの清涼飲料水やジュース類が挙げられますが、これらの摂取で尿酸値が上がりやすいことが報告されています。
加えて、果糖などの糖分を多く含む甘い飲み物やソフトドリンクは、体に必要な栄養素が少ない一方で摂取カロリー過剰につながりやすい特徴があります。
余分なカロリー摂取の原因になりやすく、高尿酸血症及び肥満の改善の妨げになることから、控えめにすることを意識しましょう。
痛風で食べてはいけない、尿酸値に悪影響がある食べ物一覧表
痛風は食事の影響を受けやすい病気であり、尿酸値に悪影響があるため痛風の人は食べないほうが良い食べ物というものも少なからず存在します。
痛風改善のための食事療法で避けるべき食べ物として、具体的にどのようなものがあるでしょうか?
ここからは痛風および高尿酸血症のリスク要因となるプリン体、アルコール、果糖などの成分を含む食べ物を一覧で紹介しますので、毎日の食事選びに役立ててくださいね。
肉・魚類の内蔵(レバー、白子)
肉類や魚類の中でも内臓、特にレバーや白子はプリン体が多く、痛風改善のためには避けるべき食べ物の一つです。
また、尿pHの酸性化に関与する動物性食品及びタンパク質源であり、複数の要因から避けるべき食品といえます。
■各種レバー、白子のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
鶏レバー | 312㎎ | 249㎎(80g) |
豚レバー | 284㎎ | 227㎎(80g) |
牛レバー | 219㎎ | 175㎎(80g) |
イサキ白子 | 305㎎ | 91㎎(30g) |
あんこう肝(酒蒸し) | 399㎎ | 59㎎(15g) |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
一方、魚の白子と関連して、魚卵もプリン体の多い食品と思われがちですが、実はそうではありません。
■各種魚卵のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
すじこ | 15㎎ | 3㎎(20g) |
かずのこ | 21㎎ | 6㎎(30g) |
たらこ | 120㎎ | 24㎎(20g) |
めんたいこ | 159㎎ | 31㎎(20g) |
とびこ(塩漬け) | 67㎎ | 13㎎(20g) |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
種類によってプリン体含有量は異なるものの、重さあたりのプリン体量は「極めて少ない(50㎎未満)」~「中程度(100~200㎎)」であり白子・レバーと比較すると少なくなっています。
また、1回に食べる量を考慮すると更に少なくなります。
魚介類(小魚、干物、甲殻類、牡蠣)
魚介類の中でも小魚や甲殻類、貝類、干物には比較的プリン体が多く含まれます。
また、動物性食品及びたんぱく源であり、尿のpHの酸性化にも関係する食品グループです。
■各種魚卵のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
ちりめんじゃこ | 1108㎎ | 26㎎(2g) |
煮干し | 746㎎ | 14㎎(2g) |
しらす干し | 471㎎ | 11.1㎎(2g) |
マイワシ(干物) | 305㎎ | 244㎎(80g) |
干しえび | 749㎎ | 15㎎(2g) |
かつお節 | 493㎎ | 4㎎(1g) |
カツオ | 211㎎ | 169㎎(80g) |
マイワシ | 210㎎ | 105㎎(50g) |
マアジ(干物) | 245㎎ | 147㎎(60g) |
スルメイ力 | 186㎎ | 186㎎(100g) |
大正工ビ | 273㎎ | 136㎎(50g) |
カキ(牡蠣) | 184㎎ | 110㎎ |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
小魚や干物、一部の甲殻類・貝類の100gあたりのプリン体量は「中程度(100~200㎎)」~「きわめて多い(300㎎以上)」に該当し、摂取は控えるのが安心です。
酒類
酒類に含まれるアルコールは高尿酸血症の発症リスク増加要因の一つです。
また、アルコール由来のカロリーは摂取カロリー過剰につながり、痛風のリスク要因である肥満の一因にもなります。
このほか、酒類の一部はプリン体を含むものもあり、とりすぎに注意が必要です。
■各種酒類のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
ビール | 3~8㎎ | 18~48㎎(500ml) |
地ビール | 4~16㎎ | 18~67㎎(350ml) |
発泡酒 | 0~3㎎ | 0~15㎎(350ml) |
低アルコールビール | 2~13㎎ | 11~52㎎(350ml) |
紹興酒 | 7~11㎎ | 8~12㎎(90ml) |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
痛風の人は酒類を避けるべき理由としてはプリン体よりもアルコールによる悪影響のほうが大きいものと言えます。
プリン体をもともと含まない酒類、またはプリン体をカットした酒類も販売されていますが、アルコールを含む以上「プリン体ゼロ」であればいくらでも飲んでもよいということではありません。
尿酸値への影響を最小限に抑えるためには、酒類は以下の適量範囲に留めることを意識しましょう。
- 日本酒…1合(180ml)
- ビール…350~500ml(製品によるアルコール度数やプリン体含有量の違いあり)
- ウイスキー…60ml(ダブル1杯)
- ワイン…148ml(約1杯強)
※合計ではなくどれか1項目、週に2日程度の休肝日を設ける
健康食品、サプリメント
一部の健康食品やサプリメントはプリン体を多く含むため注意が必要です。
ビール酵母やクロレラ、スピルリナといった微生物を原料とするもののほか、プリン体そのものであるDNA、RNAを高濃度に配合したものではわずかでも通常の食品を大幅に上回る量のプリン体を摂取することに繋がります。
■各種サプリメント、健康食品のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
ビール酵母サプリメント | 1206㎎ | 30㎎(1日分10粒) |
クロレラサプリメント | 3182㎎ | 63㎎(1日分10粒) |
スピルリナサプリメント | 86㎎ | 101㎎(1日分40粒) |
ローヤルゼリー | 403㎎ | 12㎎( 2さじ分3g) |
DNA・RNAサプリメント | 21493㎎ | 256㎎(1日分4粒) |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
単にプリン体の含有量だけでなく、サプリメントや健康食品の内容によっては痛風の治療の妨げになる可能性も考えられますので、サプリメントを使用している場合や使用を検討している場合には、かかりつけの医師や薬剤師等の専門家に相談するのが安心です。
肉類
肉類のうちレバー以外の部位の場合、プリン体はあまり多く含まれませんが、動物性食品でありタンパク質源になることから、尿pHの酸性化に関係して痛風のリスクを高めるため、とりすぎに注意が必要です。
また、部位によっては脂質を多く含む場合があり、摂取カロリーを増やしやすいため、脂身の少ない部位を選ぶことも大切です。
■脂身の多い肉類の例
- 鶏肉…鶏皮、もも肉
- 豚肉…バラ肉
- 牛肉…バラ肉、リブロース、サーロインなど(特に和牛肉など霜降りのもの)
具体的には、毎日の食事で肉料理ばかりになることを避け、植物性のたんぱく質(主に大豆製品)を取り入れましょう。
また、脂身の多い部位は避け、低脂質の部位を選ぶことを意識しましょう。
納豆
納豆は比較的プリン体の多い食品です。
毎日の朝食で食べるなど、習慣的に接種している場合にはプリン体摂取量を増やしてしまいやすいので、量や頻度を控えめにしましょう。
納豆のプリン体が多い理由は納豆に含まれる納豆菌によるもので、納豆以外の大豆製品は基本的にプリン体は少ない特徴があります。
■大豆製品のプリン体含有量(100gあたり)
食品名 | プリン体(100gあたり) | プリン体(1回量あたり) |
豆腐(冷奴) | 31㎎ | 31㎎(100g) |
豆乳 | 22㎎ | 51㎎(200g) |
おから | 48㎎ | 48㎎(100g) |
えだまめ | 47㎎ | 19㎎(40g) |
納豆 | 113㎎ | 53㎎(40g) |
*高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)より作成(小数点以下切り捨て)
大豆製品は尿pHの酸性化につながりにくい植物性のたんぱく源ですので、積極的に取り入れたい食品です。
ジュース、お菓子
甘いジュースやお菓子類は果糖などの糖類を多く含むため控えめにしましょう。
- 清涼飲料水(コーラ、サイダー、その他甘い飲み物)
- 果物ジュース
- 飴、グミ、チョコレートなど甘いお菓子
- ケーキ、アイスなどスイーツ類
- 菓子パン
ソフトドリンクや果物ジュースに含まれる果糖は、血液中の尿酸値を高める作用があることが知られています。
また、お菓子等に含まれる砂糖は体内で消化されて一部が果糖となること、余分なカロリー摂取になって肥満の原因の一つとなることから、控えめにするのが望ましいでしょう。
お菓子やジュース類を含む嗜好飲料の適量は、健康な人の場合でも1日あたり200kcalが一つの目安となりますので、この範囲内にとどめましょう。
痛風の治療の一部として摂取量が決められている場合にはその範囲を守るようにしましょう。
痛風にいい食べ物・飲み物とは
痛風で食べてはいけない・食べるのに注意が必要な食べ物があるのに対し、痛風に良い食べ物・飲み物も存在します。
ここからは、痛風改善のために積極的に食べたい食べ物や飲み物について解説します。
野菜・果物・きのこ・海藻
野菜、果物、きのこ、海藻はいずれも低カロリーな食材であり、積極的に取り入れることで食事からの摂取カロリーを適正化するのに役立ちます。
また、野菜や果物はビタミンCやクエン酸の摂取源となり、尿酸値の低下や尿のアルカリ化によって痛風の改善や関連する尿路結石のリスク低下にかかわります。
また、尿酸値の低下に役立つ食事モデル(DASH食、地中海食、果物・大豆食)でも積極的な摂取が勧められていることからも、意識的に摂取量を増やしたい食材といえます。
例外として、海藻のうち海苔、きのこのうちヒラタケや干し椎茸は比較的プリン体を多く含むこと、甘い果物類は果糖を多く含むことから、過剰摂取にならないように留意するとよいでしょう。
低脂肪の乳製品
低脂肪の乳製品は尿酸値低下にかかわる「DASH食」を構成する食材の一つで、痛風リスクを低減すると報告されています。
取り入れたい低脂肪の乳製品には以下のようなものがあります。
- 低脂肪乳
- ヨーグルト(低脂肪タイプ)
- カッテージチーズ
- 脱脂粉乳(スキムミルク)
通常の牛乳やヨーグルト、チーズなどと替えて取り入れることにより、摂取カロリーの低下にもつながります。
コーヒー
適量範囲のコーヒー摂取は痛風の改善におすすめです。
コーヒーは痛風リスクの低減と発症抑制に効果があるという報告があります。
一方でコーヒーはカフェインを比較的多く含むことから、過剰摂取は避けるようにしましょう。
カフェインは過剰摂取すると不眠や不安、不整脈や血圧上昇などの健康への悪影響があることが知られています。
カフェイン摂取の適量範囲は健康な成人で400㎎まで、コーヒーの場合マグカップで3杯程度までと言われています。
カフェインの許容量は個人差が大きいため、上記の範囲内で自分の体に合わせて調整できるとよいでしょう。
痛風予防のために注意すべき生活上のポイント
痛風や高尿酸血症の原因や改善には、食事以外の生活習慣も関係しています。
痛風の予防には、適度な運動を行うことと、疲労やストレスをためすぎないことが大切です。
食事以外に気をつけたい生活上のポイントについて、詳しく解説します。
適度な有酸素運動
尿酸値が上がる主な原因である肥満を解消する方法のひとつに適度な運動、特に有酸素運動が挙げられます。
運動を行うことで身体活動量を増やし、消費カロリーを増やすと、体脂肪を減らし、それに伴って尿酸値を下げることが期待できます。
ただし、極端に激しい運動や強い負荷のかかる筋トレ、運動による脱水はかえって尿酸値を上げる可能性があるため、運動内容には注意が必要です。
尿酸値の低下と痛風の改善のための運動のポイントは以下の通りです。
- 適度な負荷で行う(脈が少し早くなる程度、かかりつけの医師に相談する)
- 有酸素運動を中心にする
- こまめに水分補給を行う
おすすめの有酸素運動には以下のような例が挙げられます。
- 歩行(ウォーキング)
- ジョギング
- サイクリング
- 社交ダンス
これらの運動を少なくとも10分以上、1日で合計30分~60分程度行うことが適当とされています。
運動はやりすぎると尿酸値の上昇や関節への負荷の懸念がありますので、具体的な内容はかかりつけの医師等と相談して決めるのが安心です。
運動のためのまとまった時間を取るのが難しい場合は、日常生活の中で少しでも座りっぱなしの時間を減らし、体を動かす時間を増やすことを意識し、習慣化するように心がけましょう。
運動時は脱水にならないよう、十分な水分補給も大切です。
疲労やストレスをためない
ストレスや睡眠不足も高尿酸血症の原因になることが知られています。
また、痛風のリスク要因である肥満やそのほかの生活習慣病のリスクとも関連するため、疲労の回復やストレス解消のための休養は十分に確保することが大切です。
- 睡眠時間の確保のために早寝を心がける
- 疲労回復のためにゆっくり入浴する
- 趣味の時間をとるなど気分転換をする
身体的な疲労・ストレスだけでなく、精神面でもリフレッシュする機会があると理想的です。
まとめ
痛風は食事を含めた生活習慣が発症や予防・改善に大きく関わる病気であり、痛風発作の予防や高尿酸血症の改善のためには、食事の見直しが大切なポイントです。
血中の尿酸濃度は食事から摂取するプリン体やアルコール、果糖などの影響を受けますので、これらの成分が多く含まれる食品は取りすぎないように注意しましょう。
また、意識して避ける食品とは別に、野菜や植物性たんぱく質など、積極的に取り入れたい食品も存在します。
「食べてはいけないもの」だけを意識するのではなく、栄養バランスが取れた食事になるように食事全体を見ることが大切です。
痛風の食事療法は自己流では難しい部分も少なくありませんので、医師や管理栄養士など、専門家に相談するのもおすすめです。
参考文献
日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会:「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版・2022年追補版」
日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会:「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(旧版)」
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
栗原 久.日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-,東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号(Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3)
記事監修
院長 渡邉 秀美代
- お茶の水橋交番横クリニック 院長
- 医学博士
- 総合内科認定医
- 内分泌内科専門医
- 内分泌内科指導医
- 産業医
- JSCTR認定GCPパスポート(日本臨床試験協会)
管理栄養士 平井 しおり
2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。
現在は、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。