糖尿病にいい食べ物ランキング。血糖値を下げて悪化を予防する食事のポイントを解説
糖尿病の治療において、食事療法は大きな役割を担っています。
糖尿病に良い食べ物とは、単に糖質の少ない食材ではなく、血糖値が上がりやすい体の状態を改善するのに役立つ食べ物です。
この記事では、糖尿病のうち、食事を含む生活習慣が大きく関連する「2型糖尿病」を指摘された方向けに、病状の悪化を防ぎ、数値改善に役立つ食べ物の具体例や食事のポイント・注意点について解説していきます。
間食におすすめのお菓子レシピも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
糖尿病(2型糖尿病)とは?原因と放置するリスクを解説
糖尿病とは、血糖値の調整を行うホルモンであるインスリンの作用不足によって血糖値が慢性的に高くなる病気です。
血糖値が高い状態が長く続くと、血管にダメージを与えて様々な合併症や動脈硬化性疾患の原因となります。
- 網膜症
- 腎症
- 神経障害
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳卒中
糖尿病は血液検査の数値や症状の有無だけでなく、家族歴や体重の推移などを総合して診断されます。
■高血糖の基準値
- 空腹時血糖…126㎎/dl以上
- ブドウ糖負荷試験2時間値…200㎎/dl以上
- HbA1c…6.5%以上
■糖尿病の症状
- のどの渇き(口渇)
- 水分を多く摂る(多飲)
- 尿量が多い(多尿)
- 体重減少
その一方で、糖尿病は自覚症状がないことも少なくありません。
糖尿病は原因により1型と2型に分けられますが、このうち糖尿病の大部分を占める2型糖尿病は以下の要因がもとでインスリンの分泌や効きが悪くなるなどして発症することが知られています。
■2型糖尿病の原因となる要素
- 遺伝的要因
- 食べ過ぎ
- 運動不足などの生活習慣
- 肥満
糖尿病の治療では、血糖値をなるべく正常範囲にとどめ、合併症を予防して健康状態を維持することが目標となります。
血糖値のコントロールのほか、合併症の予防の観点から、体重、血圧、血中脂質のコントロールが必要となることもあります。
糖尿病の治療には食事療法、運動療法、薬物療法がありますが、具体的な治療内容は病状によって異なります。
しかし、どの段階にあっても食事や運動といった生活習慣の改善は重要な項目であり、具体的な改善点としては以下のようなものが挙げられます。
- 食事内容の見直し(食事療法)
- 運動不足の解消(運動療法)
- 肥満の解消(食事・運動の両方が関連)
糖尿病の食事のポイント
糖尿病の改善のためには、食事の見直しは最も重要な取り組みとも言えます。
食事の見直しを行うことで、以下の効果が期待でき、糖尿病にかかわる体内の代謝が改善することが知られています。
- 体重減少
- HbA1cの低下
- 血中脂質、血圧の改善
具体的なポイントとしては、以下の9点が挙げられます。
- 適正エネルギー(カロリー)の摂取
- バランスのとれた食事
- 炭水化物・糖質の適量摂取
- 食物繊維の積極的な摂取
- たんぱく質の適切な摂取
- 脂質の適切な摂取
- アルコール摂取は適量範囲で
- 塩分は控えめに
- 間食・おやつは質と量に注意
それぞれの内容について詳しく紹介します。
適正エネルギー(カロリー)の摂取
食事からのカロリー摂取を適正に保つことで、糖尿病の改善に役立ちます。
肥満は糖尿病の主なリスク要因のひとつであり、肥満がある場合には体重の減少により血糖値の改善につながることが期待できます。
また、脂質異常症や高血圧などがある場合には、これらの数値改善も期待できます。
肥満の解消のためには、目標体重の達成に向けて摂取カロリーを適正範囲にとどめるよう管理する必要があります。
目標体重に関しては、65歳未満の場合BMI22に相当する体重がひとつの目安となります。
しかし、具体的な目標体重、適切なカロリーについては現体重、年齢、病態、身体活動量などによって異なるため、医師や管理栄養士に相談の上、自分に合った数値を設定する必要があります。
目標体重は短期間で達成する必要はなく、1~2㎏程度の減量であっても各種数値の改善に役立つことが知られています。
過食を避けて腹八分目を目安に食事量を管理するほか、エネルギー(カロリー)が低めの食材選びを心掛けると効果的です。
バランスのとれた食事
糖尿病の食事では、特定の栄養素に着目するのではなく、全体を見てバランスのとれた内容とすることが重要です。
2013年の「日本糖尿病学会の食事療法に関する提言」では、以下の栄養素バランスを推奨しています。
- 炭水化物…摂取カロリーの50~60%
- たんぱく質…摂取カロリーの20%以下
- 脂質…炭水化物・脂質の残り(20~30%程度)
- 食物繊維…20g/日以上
これは健康な人にとって理想的な栄養バランスとほぼ変わらない内容です。
具体的には、毎日の食事で、
- 主食…ごはんや麺、パン
- 主菜…肉、魚、卵を使ったメインのおかず
- 副菜…野菜、海藻、きのこなどを使ったサブのおかず
これら3種類をそろえるように心がけることで、食事内容の栄養バランスを整えることができます。
炭水化物・糖質の適量摂取
糖尿病だからといって、糖質(炭水化物)を食べてはいけないという訳ではなく、むしろ適量の摂取が大切なポイントです。
2013年の「日本糖尿病学会の食事療法に関する提言」では、血糖値に異常のない人とほぼ同じく、食事全体のカロリーの5~6割を炭水化物からとるのが良いとされています。
ただし、砂糖(ショ糖)の摂取が増えるほど血液中のコレステロール・中性脂肪の増加、血圧の上昇、2型糖尿病の発症リスクが増えることが報告されているため、砂糖を多く含む食品や清涼飲料水については摂取量を減らすことを心がけましょう。
過剰な糖質の摂取、または極端な糖質の制限は避け、摂取する炭水化物の内容に気を配るようにするとよいでしょう。
具体的には、以下のような点に注意することをおすすめします。
- 主食(ごはん、パン、麺)は毎食適量をとる
- 主食抜きの食事、主食ばかりの食事にしない
- 果物は1日あたり100g程度までにする
- 砂糖を多く含む食品(菓子、ジュース類)は控える
- 砂糖、みりん、ハチミツなどの調味料を控える
- 低カロリー甘味料を適度に活用する
いずれの内容においても、具体的な内容や摂取量に関しては個人の状況に応じて決める必要があるため、食事内容を決めるときには必ず医師や管理栄養士に相談するようにしましょう。
食物繊維の積極的な摂取
食物繊維を多く摂取するとHbA1cの低下や、糖尿病に関連して起こる心血管疾患の発症率が低下することが知られており、積極的に摂取することが推奨されています。
食物繊維は野菜、海藻、きのこ類のほか、精製されていない・精製度の低い穀類に豊富に含まれており、これらを意識して選ぶことが有効です。
- 白米は玄米、雑穀米、麦飯などに変える
- 小麦製品は全粒粉入りのものを選ぶ
- 野菜、海藻、きのこ類の摂取を心がける
食物繊維の目標摂取量は1日あたり20g以上とされているのに対し、日本人の平均摂取量は1日あたり17~19gといわれており、1~3gぶん摂取量を増やすよう取り組めるとよいでしょう。
たんぱく質の適切な摂取
近年はタンパク質の摂取が注目されています。
糖尿病の改善においてはたんぱく質不足にならないようにする一方、糖質に注意するあまり、たんぱく質の摂り過ぎにならないよう注意しましょう。
日本糖尿病学会の食事療法に関する提言と日本人の食事摂取基準2020年版を組み合わせて考えると、タンパク質の適量は総摂取カロリーの15~20%程度であり、これ以上になるとかえって動脈硬化性疾患などのリスクを高める可能性があるとされています。
- 肉、魚、卵、大豆のおかず(主菜)を毎食とる
- 肉、魚、卵、大豆ばかり食べる食事は避ける
1食あたりの主菜の適量として、「手のひら1枚分」がひとつの目安となります。
もちろん、病状によって調整が必要な場合がありますので、医師や管理栄養士に相談するのが安心です。
脂質の適切な摂取
脂質は重さあたりのカロリーが多く、摂り過ぎは摂取カロリー過多からの肥満につながりますが、糖尿病の改善においては摂りすぎを避ける程度で、極端な制限は必要ないとされています。
2013年の「日本糖尿病学会の食事療法に関する提言」では、摂取カロリーの割合から考えると20~30%程度を脂質が占めるのが良いとされています。
このとき、脂質の割合が25%以上になる場合には、摂取する脂質の内容に配慮が必要です。
肉類・乳脂肪分に多い飽和脂肪酸は糖尿病やその他の生活習慣病のリスクを高めやすいことから控えめに、植物油や魚類に多い不飽和脂肪酸はHbA1cの低下や糖尿病リスクを低減することから、積極的に取ることが推奨されています。。
具体的な取り組みとしては以下のようなものが挙げられます。
- 油脂分を多く含む食品は控えめにする
- 油脂を多く使う調理法(揚げ物、揚げ焼き)を避ける
- 肉類、乳製品の油脂を植物油、魚類の油脂に置き換える
アルコール摂取は適量範囲で
アルコールは摂取しすぎると摂取カロリーが高くなりすぎたり、栄養素のバランスが乱れたり、低血糖をもたらしたりといった影響があることが知られています。
これにより血糖値をはじめとする各種数値のコントロールが難しくなるため、アルコールはなるべく控えることが推奨されています。
糖尿病の治療中は絶対に飲んではいけない、という事はありませんが、節度ある適度な量の範囲でほどほどに楽しむのが良いでしょう。
日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2019では、1日あたりのアルコール摂取量は多くとも25gまでがひとつの目安とされていますが、血糖値以外の疾患がある場合には禁酒が必要とされることがありますので、具体的な摂取量については医師や管理栄養士と個別に決める必要があります。
塩分は控えめに
塩分(食塩、ナトリウム)は摂りすぎると高血圧の原因となり、糖尿病に関連する動脈硬化性疾患を悪化させるため、控えめにすることが推奨されています。
高血圧のない場合の1日あたりの食塩摂取量の目標値は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされており、これは健康な人と同じ数値となっています。
高血圧がある場合には、1日あたり6.0g未満が目標値となります。
現代の日本人の食塩摂取量はこれらの目標値を大きく上回っているため、高血圧を指摘される前から減塩に取り組むのが理想です。
間食・おやつは質と量に注意
間食・おやつはものによってはカロリーの過剰摂取のほか、炭水化物や脂質の摂りすぎにもつながります。
1日の摂取カロリーが適正な範囲に収まり、栄養バランスを乱さないように取り入れましょう。
カロリーとしては1日あたり100~200kcalまでがひとつの目安となりますが、個人の状況に合わせて決めるのが安心です。
間食・おやつの摂りすぎに注意するほか、その内容にも気を配れるとよいでしょう。
具体的には、
- 間食・おやつの量・頻度を控える
- カロリーの低いものを選ぶ
- 砂糖の多いものは避ける
- 油脂分の多いものは避ける
- 食物繊維が豊富なものを選ぶ
- 低GIの商品を選ぶ
などを工夫することで、血糖値をコントロールしつつ間食も楽しむことができそうです。
低カロリー甘味料は炭水化物・カロリーの摂取量を抑えるのに役立ちますが、摂りすぎると間接的に生活習慣病のリスクをあげる可能性があるため、いくらでも摂ってよいというものではないと考えましょう。
糖尿病にいい食べ物ランキング
ここまでで解説した糖尿病の食事のポイントを踏まえて、糖尿病の改善に役立つ特徴を持つ食べ物の具体例を紹介します。
いずれも糖尿病に良い食べ物と考えることはできますが、食べれば食べるほど血糖値を下げるということではありません。
食事全体のカロリーやバランスを考慮しながら、極端に偏った食事にならないよう、上手に活用してくださいね。
1位:でんぷん質の少ない野菜
野菜類はおおむねカロリーが低く、食事のボリュームを維持しつつ、摂取カロリーを抑えるのに役立つ食品です。
また、食物繊維の摂取源でもあるため、たっぷり食べることを心がけることで、食物繊維の摂取量を増やすことにも役立ちます。
野菜の一部はでんぷん質を比較的多く含む場合がありますので、でんぷん質の少ない野菜類を特に意識してとれるとよいでしょう。
- 小松菜
- ゴーヤ
- ほうれんそう
- 春菊
- チンゲンサイ
これらの野菜は糖質量が少なく特におすすめです。
とはいえ、これらの野菜にこだわらず、幅広い種類の野菜をとるようにしましょう。
ビタミンやミネラルの摂取も併せて考えると、1日あたり350gの野菜を摂取できると理想的です。
小鉢1皿分の野菜を70gとみて、1日を通して5皿程度が目安とされます。
ただし、レンコンやカボチャのような炭水化物(でんぷん質)が比較的多い野菜ばかりをとることは避けましょう。
2位:海藻・きのこ
海藻類やきのこ類は野菜類と並んで低カロリーであり、食物繊維の摂取に役立つ食品です。
食事管理の面では野菜とおおよそ同じといえるので、1日350gの計算に入れてもよいと考えます。
- わかめ
- めかぶ
- もずく
- ひじき
- えのきたけ
- ぶなしめじ
- しいたけ
- エリンギ
きのこ類は野菜と比べて価格が安定しているのがメリットであり、また生での冷凍も可能なのが魅力です。
海藻類は調味済みの加工品が便利なほか、乾燥品が多く保存性に優れるのが魅力です。
それぞれ、自身の食事スタイルに合わせて、取り入れやすいものを活用するのがおすすめです。
3位:全粒穀物(玄米、全粒粉、大麦など)
通常の白米、小麦粉などの穀類製品は「精白」という工程を経てつくられています。
対して、精白を行わず丸ごとの穀類のことを「全粒穀物」と言い、精製された穀類と比較して食物繊維等を多く含む傾向があり、糖尿病にいい食べ物のひとつといえます。
- 玄米
- 雑穀(ひえ、あわ、キヌア、アマランサスなど)
- 大麦(押し麦、もち麦)
- 全粒粉
- オートミール
食物繊維を多く含む一方、糖質量やカロリーは精製された穀類とさほど変わらないため、摂りすぎを避け、適量範囲で「置き換える」かたちで取り入れるのがおすすめです。
4位:魚
魚に含まれる油脂分にはHbA1cの低下に役立つ「多価不飽和脂肪酸」を多く含んでいます。
反対に糖尿病や動脈硬化性疾患のリスクを高める「飽和脂肪酸」が多い肉類と置き換えて取り入れることで、摂取脂肪酸の内容を改善することができます。
- イワシ
- サバ
- サンマ
これらいわゆる「青魚」は不飽和脂肪酸を多く含むことが知られているほか、価格的にも取り入れやすい魚種といえます。
また、これらの魚の水煮缶などの加工品は保存性も高く取り入れやすいため、上手に活用してみてはいかがでしょうか?
5位:大豆製品
大豆製品は植物性食品でありながらたんぱく質を豊富に含むため、主菜の食材として活用できるのが特徴です。
魚類と同様、肉類と置き換えることで、たんぱく質摂取量を維持しつつ、飽和脂肪酸を減らすことができます。
また、納豆や蒸し大豆のような大豆丸ごとのものでは食物繊維も摂取できるため、糖尿病にいい食べ物のひとつといえます。
- 豆腐
- 納豆
- 蒸し大豆
- 大豆ミート(ソイミート)
- 豆乳
大豆製品は形態によってさまざまな使い方ができるのが魅力です。
たとえば、豆乳は牛乳の代替として摂取脂質の改善に役立ちます。
また、大豆ミートでは肉類と変わらない感覚で食べられるため、肉類が好きな方にもおすすめです。
6位:果物
果物は甘味があって糖類を含むため、糖尿病では避けるべきと思われがちですが、食物繊維を含む食品でもあり、適量範囲であればむしろ糖尿病に関連するリスクを低減することが知られています。
- ブルーベリー
- ブドウ
- りんご
これらの果物は特に糖尿病発症率の低下に役立つことが報告されているため、積極的に取り入れるとよいでしょう。
砂糖類を多く含む菓子類の代わりに間食として取り入れることで、摂取カロリーを低く抑えることにも役立ちます。
果物ジュースでは反対に糖尿病リスクを高めるとみられるため、生の果物をとるのがおすすめです。
具体的な摂取量については病状に合わせて決定する必要がありますが、1日100g程度までなら血糖値や血中中性脂肪値は改善し、体重増加にもつながらないと報告されています。
ただし、過剰摂取すると血中中性脂肪を増やしたり、摂取カロリーを増やして肥満につながったりといった懸念もあるため、食事全体のバランスをとりながら適量範囲で取り入れるのが良いでしょう。
7位:ナッツ
ナッツ類は糖質が少なく食物繊維を含む食材で、間食として菓子類の代わりに取り入れるのがおすすめです。
油脂分も不飽和脂肪酸の割合が多いため、脂質の多い菓子類と置き換えることで摂取脂質の改善に役立つ食品でもあります。
- クルミ
- アーモンド
- ピーカンナッツ
- カシューナッツ
- ピスタチオ
油で揚げたものではなく「素焼き」のもので、塩分を添加していないものがおすすめです。
ただし脂質が多くカロリーが高いため、少量に留めるよう意識しましょう。
糖尿病でも食べられるおやつレシピの紹介と調理のポイント
糖尿病の改善のためには甘いお菓子類は基本的に避けるべきですが、糖尿病の改善に役立つ食材を上手に組み合わせることで、血糖コントロールに悪影響を与えずにお菓子を楽しむことも可能です。
ここまでで紹介した「糖尿病にいい食べ物」を活用したおやつレシピを紹介します。
ナッツ入りオートミールクッキーのレシピ
分量(1人分)
- オートミール …30g
- サラダ油 …小さじ1(4g)
- 水 …大さじ1(15g)
- ラカント …小さじ1.5(6g)
- クルミ(煎り、味付けなし)…5g
作り方
- クルミは粗めに刻んでおく。
- オーブンは180℃に予熱しておく。
- オートミールにサラダ油と水を加えて混ぜる。
- ラカント、刻んだクルミを加えて混ぜる。
- 4等分して丸く成型して天板に並べ、180℃で15~20分焼く。
- 焼きあがったら粗熱をとって網の上などで冷ます。
栄養価とコメント
- カロリー 176kcal
- たんぱく質 4.8g
- 脂質 9.2g
- 炭水化物 21.3g(うち利用可能炭水化物19.1g)
- 食物繊維 3.2g
小麦粉ではなく食物繊維が豊富なオートミールを使ったクッキーです。
甘味付けは砂糖ではなく低カロリー甘味料を活用することで、血糖値への影響を少なくしています。
クルミを加えることで食感も楽しめます。
よく噛んでゆっくり食べることを意識してくださいね。
血糖値を下げるための食べ方のポイント
糖尿病の改善のためには、摂取する食材そのものだけでなく、「どのように食べるか」も大切なポイントです。
- 規則正しく食べる
- ゆっくり食べる
- 食べる順番に注意する
- 外食、コンビニ食に注意する
血糖値を下げるための食べ方のポイントについて、詳しく解説します。
規則正しく食べる
朝食抜き(欠食)、夜食といった不規則な食事は肥満につながりやすく、血糖値のコントロールを乱す要因のひとつとなります。
朝食、昼食、夕食を規則正しく食べ、食事のボリュームもいずれかの食事に極端に偏ったりしないように心掛けましょう。
- あらかじめ食事の時間を決めておく
- 朝食の時間を確保するために夜は早めに就寝する
など、生活スタイルを整えることから始めるのもおすすめです。
ゆっくり食べる
早食いを避けるようにすると、満腹中枢が働く前に食べすぎることを防ぐことができます。
さらに、よく噛んでゆっくり食べることで、食後の高血糖の改善が期待できることが報告されています。
- 会話を楽しみながら食べる
- 噛み応えのある食材を取り入れる
- 一口の量を意識して減らす
といったことを取り入れても、ゆっくり時間をかけて食べることにつながるのでおすすめです。
食べる順番に注意する
食事をとるときに「野菜」を先に食べる「ベジファースト」を心掛けることで、食後の血糖値の上昇が抑えられたり、HbA1cの低下や体重減少につながったりすることが知られています。
- 最初に野菜のおかず(副菜)
- 次に肉、魚、卵のおかず(主菜)
- 最後にご飯、パン、麺(主食)
この順序で食べることで、低カロリーで食物繊維が豊富な野菜をしっかり確保することができます。
野菜料理を先に食べることにより、その後の主食の食べ過ぎを防ぎ、かつ糖質の吸収が緩やかにする効果が期待できます。
前述の「ゆっくり食べる」に近い効果が得られると考えましょう。
野菜は1日350gを目標に、1食あたり100~150gほど野菜を摂取できるとよいでしょう。
また、食べる順番を厳密に決めるのは日本の食事内容として不自然なこともあるので、
- 食事の前半は野菜やたんぱく源のおかずを中心に
- 食事の後半で主食を食べる
といった風な食べ方でも問題ないと考えます。
外食・コンビニ食は選び方に注意が必要
外食やコンビニ食は高カロリーになりやすく、炭水化物に偏りやすい、野菜が不足しがちといった特徴があり、無意識に選ぶと糖尿病の改善には適さない食事になりやすいといえます。
メニューの選び方を工夫することで、糖尿病にいい食事に整えていきましょう。
- 主菜、副菜、主食をそろえるようにする
- 栄養成分表示を確認してカロリーの摂りすぎを防ぐ
- 「ご飯少なめ」があれば選ぶ
- 「野菜たっぷり」のメニューを選ぶ
- 野菜のおかずを追加する
近年では、健康志向の高まりから、外食やコンビニでも健康を意識したメニューも多くなってきていますので、上手に活用することで負担を減らしていきたいですね。
血糖値を下げるための食事以外のポイント
糖尿病は生活習慣病であり、その原因や改善方法には食事以外の生活習慣も大きく関連しています。
特に気を付けたいのが以下の2点です。
- 適度な身体活動
- 規則正しい生活
糖尿病の改善のために取り組みたいポイントについて紹介します。
適度な身体活動
食事療法に運動療法を組み合わせることで、さらに効果的に糖尿病のリスクを抑えることができることが知られています。
身体活動量を増やして消費カロリーを増やすことで、肥満の解消につながるだけでなく、インスリンの効きを良くすることで糖尿病の改善に役立ちます。
糖尿病の改善に対しては、有酸素運動とレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)のいずれも血糖コントロールに有効であることが報告されており、可能であれば両方を行うことでさらに効果的と言われています。
糖尿病診療ガイドライン2019では、運動療法に対して以下のような目安が示されています。
■有酸素運動
- 歩行(ウォーキング)など
- 楽に行える内容から始め、徐々に強度を上げる
- 1日10~30分以上、週3回以上、合計週150分以上
- 運動をしない日が2日続かないようにする
■レジスタンス運動(筋トレ)
- 自重トレーニング、器具やマシンを利用するもの
- 10~15回×1セットから始め、8~12回×1~3セットになるよう負荷を上げていく
- 週に2~3回
- 運動する日が連続しないようにする
運動の実施に関しては、合併症の有無やその他の体のトラブルがないかを確認してから行うことが大切です。
具体的な運動内容は医師と相談の上で決めるようにし、無理をしないようにしましょう。
運動ができない場合でも、日常生活の中で座ったままの状態をなるべく避けたり、体を動かす時間を増やしたりすることも効果的です。
- 30分に1回は立ち上がって体を動かす
- 歩く時間を増やす
- なるべく階段を使う
- 立って作業する
規則正しい生活
食事や運動だけでなく、より大きな生活全体の形を整えることで糖尿病の改善につながることが期待できます。
- 睡眠不足
- 夜更かしの習慣
- シフトワーク(夜勤、交代勤務)
これらはいずれも不規則な食事摂取から血糖コントロールを乱す要因になりやすく、肥満や2型糖尿病との関連が指摘されています。
これらの生活スタイルを見直すことで糖尿病の改善につながる可能性があります。
とはいえ、生活スタイルを大きく変えるのは容易なことではありませんので、これらの生活スタイルによって起こりがちなトラブルの解消から取り組むのが良いのではないでしょうか。
- 朝食の欠食を避けるため、夜は早めに寝て朝の時間を確保する
- 深夜の食事にならないよう、夕方ごろに軽めにでも食事をとる
- 寝る前の間食を避ける
- 睡眠不足にならないよう、就寝時間を決めて早寝を心掛ける
この中で、早寝をすることを心がけると、その他のポイントも達成しやすくなりますので、まずは早めに布団に入ることに挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
糖尿病は自覚症状がないうちに進行し、重大な合併症や、命にかかわる大きな病気につながる病気です。
早期に血糖コントロールに取り組むことで、健康な状態を長く維持することができますので、積極的に取り組みましょう。
「糖尿病に良い食べ物」には、以下のようなものが挙げられます。
- 低カロリーで食物繊維が取れる野菜、海藻、きのこ
- 主食の中でも食物繊維が豊富な全粒穀物
- 肉類と置き換えることで脂質のバランスを改善できる魚、大豆
- お菓子の代わりにおすすめの果物、ナッツ
ただし、いずれも食べれば食べるほど良いというものではなく、適度なバランスの中で活用することが大切です。
食事だけでなく、毎日の生活の中で体を動かす時間を増やすほか、規則正しい生活を送るための環境作りなども重要なポイントです。
一度にすべてを改善するのは簡単なことではありませんので、取り組みやすいものから徐々に始めてみてはいかがでしょうか?
参考文献
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省:「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」
社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.
記事監修
院長 渡邉 秀美代
- お茶の水橋交番横クリニック 院長
- 医学博士
- 総合内科認定医
- 内分泌内科専門医
- 内分泌内科指導医
- 産業医
- JSCTR認定GCPパスポート(日本臨床試験協会)
管理栄養士 平井 しおり
2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。
現在は、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。